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【熊本日日新聞】 尖閣国有化5年 日中関係の本格的改善を

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 日中関係が著しく悪化するきっかけとなった尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化から5年が過ぎた。中国は日本の実効支配の切り崩しを図ろうと尖閣周辺の領海への侵入を繰り返し、緊張状態が続いている。
 「国交正常化後で最悪」と言われるまで冷え込んだ両国関係だが、核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮への対応のためにも協力、連携は欠かせない。尖閣が日本固有の領土であることは譲れないが、互いに歩み寄り、知恵を絞って本格的な関係改善を進めていきたい。
 尖閣諸島は沖縄本島の西約400キロの東シナ海にある無人島群で、明治政府が1895年に領土編入した。かつお節製造などが行われ、一時期は200人以上の日本人が暮らしていたという。周辺で石油資源埋蔵の可能性が指摘された1969年以降、中国や台湾が領有権を主張し始めた。
 政府は2012年9月、尖閣のうち魚釣島など3島を民間の所有者から買い取り、国有化した。当時の民主党・野田佳彦政権には、タカ派の石原慎太郎東京都知事による購入を封じる狙いがあったが、中国は「実効支配の強化」と激しく反発。各地で大規模な反日デモが起きる事態となった。
 それまで日本の海上保安庁に当たる中国海警局の船が尖閣周辺の領海に侵入することはほとんどなかったが、12年は9月の国有化後20件、翌年は52件と増加。その後は毎年30件台で常態化し、今年は8月末までで22件に上っている。
 国有化から間もなく、日本では第2次安倍晋三政権が発足し、中国では習近平氏が国家主席に就いた。両首脳は14年11月、北京で初めて会談。「戦略的互恵関係の発展」「危機管理メカニズムの構築」などを盛り込んだ4項目合意にこぎ着けたものの、その後、中国の南シナ海進出が問題化し、関係改善の歩みは停滞した。
 しかし、最近は“雪解け”の兆しも見え始めている。共産党大会を来月に控えた中国は国内外の情勢安定を最優先し、漁民が尖閣に近づかないよう管理を強化するなど神経をとがらせているとされる。さらなる対立を避ける狙いが中国にあるとすれば、日本にとって好機だろう。安倍首相も7月に習氏と会談し、習氏が進める現代版シルクロード構想「一帯一路」に条件付きながらも協力を表明するなど柔軟姿勢を見せた。
 今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年に当たり、日本政府は来年の安倍首相訪中、習氏来日に向けて中国側と調整を進めている。こうした節目を逃すと、関係改善の機運はしぼみかねない。両国は「善隣友好」を誓い合った原点に立ち返り、着実に関係を修復していくべきだ。
 日本、そして中国にとっても東アジア地域の平和と安定は利益となろう。まずは双方が柔軟さを発揮して、偶発的な衝突を回避する「海空連絡メカニズム」の運用開始を急いでもらいたい。

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