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【京都新聞】 尖閣国有化5年  対立深めぬ知恵互いに

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 沖縄県・尖閣諸島を日本政府が国有化してから5年がたった。
 島の周辺では、領有権を主張する中国が公船による領海侵入を常態化させている。日本の実効支配を切り崩す狙いとみられる。「海洋強国」建設を掲げる中国共産党政権の求心力を高める意図もあるだろう。
 2012年9月の国有化後に極度に冷え込んだ日中関係は、14年11月の北京での首脳会談を経て、改善に向かってはいる。とはいえ、首脳の相互訪問は途絶えたままで、国際会議などの場で短く会談するにとどまっている。今月3日の北朝鮮による核実験の際も、安倍晋三首相と習近平国家主席の間では電話協議すら行われていない。
 尖閣問題が壁となって日中関係が前へ進まなくなれば、東アジア全体に負の影響を及ぼしかねない。互いに譲れない一線はあるにせよ、だからこそ外交の知恵を用い、対立を先鋭化させないようにしなければならない。
 5年前、民有地だった尖閣諸島の3島を購入して船だまりなどを整備する方針を東京都の石原慎太郎知事(当時)が表明し、対中関係の悪化を懸念した野田佳彦首相(同)が国有化を決めた。島の現状を維持するために、国の管理下に置くという判断だった。
 しかしその後、中国公船や漁船による領海侵入が相次ぎ、さらに中国海空軍による東シナ海での示威行動も活発化している。日本と米国は、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲内だと明示してけん制を図るが、中国に海洋進出の圧力を弱める気はないようだ。
 偶発的な衝突を防ぐため、防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の合意を急ぐ必要がある。中国公船の侵入が続く以上、日本には海上保安庁の体制強化も重要だ。
 併せて思い起こすべきは、「東シナ海を平和・協力・友好の海にする」とした08年の日中共同声明だ。今年7月、ドイツでのG20サミット時の安倍、習両氏の会談でもこうした内容を確認している。言葉だけにとどめず、具体的に歩みを進めたい。
 先週には日中国交正常化45周年の記念式典が北京の人民大会堂で催された。40周年の際は尖閣国有化への反発から中止されたが、今回の式典開催は、対日関係に配慮した中国側のサインとも受け止められている。
 大局的な視点を双方が失うことなく、関係改善の努力を続けてもらいたい。引き続き経済や文化的な交流を発展させ、首脳間の信頼醸成につなげることが肝要だ。

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