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【岩手日報】 カスリーン台風70年 「早めの避難」の徹底を

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 県内、特にも一関地方に甚大な被害をもたらしたカスリーン台風から今年で70年になる。翌年にはアイオン台風が襲来。2年連続の大水害となり多くの人命や財産が奪われた。当時を知る体験者が少なくなる中、風化させずに伝え継いでいくことで、「早めの避難」といった防災意識の向上につなげたい。
 1947年9月に発生したカスリーン台風は14日から16日にかけて県内に大雨を降らせた。15日には磐井川の両岸の堤防が決壊。濁流にのみ込まれるなどして市内だけで100人、県内では168人が犠牲となった。
 1年後の9月15日から17日にかけてはアイオン台風に襲われた。16日午後から猛烈な雨に見舞われ、磐井川の水位が急上昇。流域では土砂崩れも発生し、樹木などとともに一気に押し出される土石流となって下流の市街地に押し寄せた。
 いわゆる「山津波」である。県内の死者・行方不明者は709人、市内だけで473人の大惨事となった。
 未曽有の被害を受け、国は北上川の治水を見直し、盛岡市の四十四田など五大ダムを整備した。さらに72年には一関遊水地事業に着手。2006年には150年に1度の洪水にも耐えられるよう計画を拡大した。総事業費2700億円、平成30年代の完成を目指す。さらに磐井川堤防も高さや幅が不足していたことから改修事業が進む。
 ハード面の整備は進んだが、懸念されるのが被害の記憶の風化と、「ダムや遊水地があるから安心」といった慢心だ。ダムや堤防は万全ではなく、想定外の水害はいつか必ず起こる。いざというときには、自分の命は自分で守るしかないことを肝に銘じたい。
 前触れもなく起こる地震と違い、水害には雨という前兆がある。地球温暖化で予測できない局地的な豪雨が増えているといっても、正確な情報収集と、「早めの避難」という正しい行動をとれば、命を守るという点では防げる災害といえよう。避難にあたっては「空振り」を恐れないことが大切だ。 
 早めに避難するためには、ハザードマップなどに目を通して自分の住んでいる地域がどれくらい浸水しやすいのか、危険なのかを知っておく必要がある。避難場所への経路も確かめておきたい。「逃げ遅れ」は命の危険に直結するのだ。
 市内には両台風の浸水時の水位を示す標柱が多く立っている。経験したことがない世代にとっては、信じられない高さだ。だが、現実にあった厳然たる事実の証しである。避難訓練などを通じて水害の恐ろしさを語り継ぎ、地域の防災力向上も図りたい。
 

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