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【西日本新聞】 豪雨と農業被害 ブランド力生かし再生を

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 窮状を乗り越え、さらに魅力ある農業の再生を目指したい。
 福岡、大分両県を襲った九州豪雨は地域を支える農業にも深刻な被害をもたらした。被災地は、博多万能ネギや志波柿、日田梨などブランド農産品の産地である。
 土砂や流木が水田や果樹園をのみ込み、大地を覆って作物の成長を困難にしている。除去しようにも重機が入れなかったり、人手が足りなかったりして、本格的な復旧は遅れがちだという。
 農作物や農地の被害額は少なくとも福岡県が390億円、大分県は60億円に上る。
 特に被害が大きい福岡県朝倉市の農地や農道の被害件数は2千件を超えた。5年前に発生した九州北部豪雨の2倍に及ぶ。復旧費の公的補助に必要な調査は職員不足で4割程度しか進んでいない。
 朝倉市は総面積のおよそ半分が山林で、続いて田畑が2割強を占める。作物はコメ、麦、果樹、野菜などの順に多い。他方で、2015年の総農家数は2683戸と15年間で半数近くにまで減少した。人口の減少や高齢化などに伴う後継者不足は深刻だ。
 復旧に多額の資金が必要になれば離農する人が増える可能性もある。地元JAが災害対策として特別融資に乗り出すなどしているが、田畑や自宅を丸ごと失った農家にとって応急的な援助だけでは農業の継続に限界があるだろう。
 農地や設備を再整備し、共同で営農する「団地化」など新たな対策も必要ではないか。荒廃地が放置されれば、病害虫のリスクが高まり、周辺への影響も心配だ。
 被災地に多い小規模農家の実情に応じた国や県のきめ細かな支援策が欠かせない。何より中長期的な展望と目標が必要だ。地域に根差す特産品のブランド力を高める方策に知恵を絞りたい。
 被災地では、復興支援も兼ねて多くの観光客が観光農園や農産物直売所を訪れている。農家の収入増につながるだけでなく、地域の農業を励ます効果も大きい。
 多様な手段で支援の輪を広げていきたい。

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