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【京都新聞】 首相の解散意向  大義はどこにあるのか

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 安倍晋三首相が28日召集の臨時国会冒頭にも衆院を解散し、総選挙を行う意向を固めた。連立政権を組む公明党に伝えた。
 最終判断は、首相が米国での国連演説などを終え帰国する22日以降に下すという。核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の「これまでにない深刻かつ重大な脅威」に直面する今、あえて解散で政治空白をつくるというのだろうか。
 首相は、北朝鮮問題に腰を据えて対応するためには、政権基盤を強化する必要があると国民に訴えたいようだ。だが、与党が衆院の3分の2以上を占め、残りの任期が1年2カ月ある現状では、有権者への説得力は乏しい。
 結局、野党が言うように、臨時国会で森友学園、加計学園をめぐる疑惑を追及され、政権支持率の低い状態で任期切れが近づくのを避ける「自己保身」「疑惑隠し」ではないのか。
 野党の機先を制する狙いも透ける。民進党は離党者への対応に追われ、前原誠司新代表の下で公約づくりや候補者選びが進まず混迷している。共産党などとの共闘の在り方も定まらないままだ。小池百合子東京都知事の側近らが準備している国政新党も、まだ姿形がはっきりしていない。
 新党には改憲に前向きな参加者が少なくないとされる。新党ができ、総選挙で与党の議席の一部を奪われたとしても、首相の唱える憲法9条への自衛隊明記に向けて、国会発議に必要な数を維持することは可能だとの読みもあるのだろう。
 先の通常国会では、二つの学園や自衛隊PKO日報の問題をめぐって政権の不誠実な対応が続き、支持率が急落して7月の東京都議選の自民党大敗を招いた。首相は自らの描く改憲スケジュールの練り直しを迫られた。
 一連の疑惑への対応についても反省の意を示し、国民に丁寧な説明を約束したのは、つい3カ月前のことだ。
 実際には野党の求める早期の臨時国会召集に応じなかった。8月の内閣改造で、支持率低下は底を打ったとみたのかもしれない。
 だが真相究明を求める国民の声に応えず、このままうやむやにすることは許されない。「仕事人内閣」を自任する新体制も、目立った仕事をまだ何もしていない。
 首相は自ら発した言葉を一つ一つ思い返してみるべきだ。そのうえで、いま解散・総選挙を行う大義がどこにあるか、明確に説明する必要がある。

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