Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 地方への移住  「住みやすさ」が鍵握る
E200-KYOTO

【京都新聞】 地方への移住  「住みやすさ」が鍵握る

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 都市部から自然豊かな地方のまちへ移り住む人が増えている。
 都会での生活に行き詰まりを感じた、のどかな環境で子育てしたいなど動機はさまざまだ。
 地方での暮らしに新しい価値を見つけ出す人は多い。この流れを大きく育てていけるよう、移住者受け入れ施策の充実を求めたい。
 自治体が把握している京都府内への移住者数は2016年度に326人。2年間で3倍となった。
 内閣府や総務省の調査でも、都市から農山漁村への移住志向はここ10年で急増し、特に30~40代の子育て世代の増加ぶりが顕著だ。
 存続が懸念される過疎の一部市町村でも転入者が増えている。
 持続可能な地域社会総合研究所(島根県益田市)が8月に公表した調査結果によると、過疎指定797市町村(15年時点)のうち11・7%の93市町村では、10年からの5年間で転入者が転出者を上回る「社会増」を実現したという。
 人口減少や高齢化の加速で「消滅自治体」が続出するとした3年前の民間団体の予測は大きな衝撃を与えた。同研究所の調査結果は、地域の努力でこうした状況を変えられる可能性を示している。
 同研究所の藤山浩所長は、地域の人口を毎年1%ずつ増やし、高齢化率の低下や小中学生数の維持を目指す「田園回帰1%戦略」の提唱者として知られる。少しずつでも移住者を呼び込む着実な活動を進めれば、人口安定化への道筋が見えてくるのではないか。
 重要なのは、移住希望者のニーズを的確につかむことだ。国土交通省の調べでは、移住者が移り住んだ前後で感じたギャップで多かったのは「収入額と支出額」「地元の人との関係性」だった。
 自治体の中には、住居となる空き家の改修費や家賃を補助するなどの支援策で経済的なサポートをしている例も少なくない。その地域を知り、住民になじんでもらうため短期居住できる「お試し住宅」を設けているところもある。
 ただ、家族を養えるだけの収入を得るには、雇用環境の充実が欠かせない。なりわいをどうつくるか、近隣自治体同士が連携して知恵を絞らなければならない。
 移住者を迎え入れる地元側の意識改革も欠かせない。地域の慣習や行事、自治の仕組み、教育環境などの情報提供が重要だ。場合によっては、移住者が溶け込みやすいよう、これまでの習慣や方法を変えていく柔軟性も持ちたい。
 住みやすい地域をつくることが移住者増への第一歩と考えたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。