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【岩手日報】 水産資源管理 日本の率先垂範が鍵に

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 秋の味覚サンマの話題が寂しい。
 宮古市から旬のサンマを届ける恒例の「目黒のさんま祭り」では、宮古港ではなく北海道で水揚げしたサンマを振る舞った。大船渡市の「三陸大船渡さんままつり」は延期され、来月後半開催の方向で検討している。
 不漁だった一昨年、昨年に続き、今年も全国的に低調の様相だ。また、魚体は小ぶりのようで、消費者から回復を願う声が聞かれる。
 不漁の要因には、海水温に伴う漁場の変化などが挙げられている。そして、近年指摘されるのは、公海での外国船による乱獲だ。
 今年、国際的規制の具体化を目指す初めての協議が行われた。8カ国・地域が参加した北太平洋漁業委員会で日本は国・地域別漁獲枠の新設を提案した。資源が危機的な状況に陥る前に、乱獲に歯止めをかけるのが狙いだった。
 しかし、不調に終わった。漁獲量がトップの台湾は支持したが、消費が爆発的に膨らんでいる中国のほか、韓国、ロシアが反対した。
 協調の道が容易ではないことが示された。その中で見逃せないのは、日本に対する不信感だ。今回も、日本が最大枠を確保する提案内容が反発を招いた側面がある。
 背景には、他の魚種の漁獲に関し、日本が世界から厳しい目を注がれていることがあるようだ。
 例えばクロマグロ。北太平洋での資源管理を話し合う国際会合で、日本の提案による新制度の創設が決まった。マグロ資源が回復すれば漁獲枠を拡大できるルール。ただ、ハードルは低くない。
 資源回復の目標水準は日本の思惑よりも高く設定された。日本の小型魚漁獲量が直近の漁期、国際合意の上限を超え、漁業管理の甘さを各国が問題視しているためだ。
 北太平洋でのクロマグロの漁獲は、日本が全体の半分を超えている。親魚の資源量がピークだった1961年の約10分の1まで減少している中で、日本の責任は重い。
 厳しい視線が向けられるのはウナギ漁も同様。ニホンウナギは乱獲や生息環境の悪化で個体数が激減し、環境省や国際自然保護連合は絶滅危惧種に指定しているが、世界最大の消費国が日本だ。
 海の恵みは無尽蔵ではなく、乱獲は枯渇を招きかねないが、各国による争奪戦激化を見ると懸念は強まる。今まさに、国際協調の重要性が突きつけられている。
 漁業技術を高め、魚食文化を進化させてきた日本こそ、国際協調をリードすべき存在だ。ただ、足元の漁業管理をしっかり固める必要がある。率先垂範できるか否かが、世界の海の未来を占う。
 

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