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【岩手日報】 地方創生3年 規制改革だけでは困る

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 2014年9月、第2次安倍政権初の内閣改造で、地方創生担当相が新たに設けられた。地方創生が本格始動して丸3年になる。
 この時、安倍晋三首相は「元気で豊かな地方をつくる」ことを最大の課題に掲げた。日本の深刻な人口減少は、地方の衰退によるとの問題意識を示したものだ。
 若者が安定して働き、安心して子育てができる地方をつくる。結果として人口減に歯止めをかける。目指すものは間違っていない。
 3年後の今、その熱気はすっかり冷めている。「国民運動としての盛り上がりが少し失速している」と、初代の担当相だった石破茂氏は現状に苦言を呈する。
 今年の地方創生方針で政府は「息長い取り組みが必要で一朝一夕に大きな成果は出ない」と釈明した。その通りだが、関心が低いまま尻すぼみになるのは許されない。
 地方創生の成果が乏しい要因は、難題である東京一極集中の是正が進まないことだろう。政府が集中是正に踏み込むこと自体は評価できるが、結果は逆になっている。
 昨年も東京圏に入る人の数は出る人を大きく上回り、21年連続の転入超を記録した。しかも15〜24歳の若者は9万人もの転入超となり、歯止めどころか増え続ける。
 3年後の五輪に向けて東京は民間のビル建設や公共のインフラ投資が盛んに行われ、人と金が集まる。五輪まで状況は変わらない、と地方には諦めムードさえ漂う。
 気になるのは、地方創生を政権最大の課題に据えた安倍首相の危機感が伝わらないことだ。一極集中を変えていく決意が感じられない。
 先月の内閣改造で、首相が会見で地方創生に言及したのは規制改革の点だけだった。「岩盤のように固い規制にもどんどんチャレンジを」と述べるにとどまった。
 規制改革の在り方に疑念が持たれた加計学園問題を意識したのだろう。しかし地方創生は、日本全体の人口減を止めようという壮大な挑戦だ。規制改革だけでは困る。
 政府は、東京23区で大学の定員増を認めない原則を決めた。地方が望んだものではあるが、これも広い意味の規制改革で、一極集中を大きく変える策にはならない。
 地方に産業と質の高い雇用を創っていく。そこに地方創生の本筋がある。自治体は国の掛け声で一斉に戦略を作り、国が定めたフォームで検証しているが、おざなりな対応では成果は望めまい。
 既に本県などの人口減は坂道を転がり始めており、猶予なく一つ一つの手を打つ必要がある。地方の知恵と覚悟、集中是正に向けた政府の本気がますます問われている。
 

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