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【西日本新聞】 平壌宣言15年 不信の連鎖を繰り返すな

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 2002年9月17日、小泉純一郎首相(当時)が電撃的に北朝鮮を訪問し、金正日(キムジョンイル)朝鮮労働党総書記(同)と会談した。両首脳は日朝平壌宣言を発表し、国交正常化へ努力する姿勢を確認した。
 この会談から15年がたった。核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮は、今や日本の安全保障上最大の脅威だ。拉致問題解決の糸口も見つからない。平壌宣言で示された「北東アジアの平和と安定」への機運はすっかりしぼんでいる。
 なぜ、こんなことになったのか。核・ミサイル開発や拉致問題に関する北朝鮮の不誠実で理不尽な態度が原因であるのは間違いない。だが失敗の要因を全て北朝鮮へ一方的に押し付けても教訓は得られない。どこを読み間違えたのか、日本側も検証が必要である。
 平壌宣言は「核問題の包括的解決のため国際的合意を順守する」「関係諸国間の対話を促進する」などとうたっている。この方向性に沿って6カ国協議が始まり、05年には共同声明が発表された。共同声明で北朝鮮は「全ての核兵器および核計画の放棄」を約束した。現在の北朝鮮からは考えられない融和的な姿勢である。
 北朝鮮の真意は読みづらいが、協議に関わった日本の元外交官は「この時点で核放棄の可能性はあった」と振り返る。しかしその後、北朝鮮は米国の金融制裁に態度を硬化させ、共同声明を無視して核保有へ進んだ。無論、合意を破った全責任は北朝鮮にあるが、不信が不信を呼び、負の連鎖に陥ったのが失敗の本質ではないか。
 北朝鮮は金正恩(キムジョンウン)委員長へと代替わりし、政権の意図はますます見えにくくなった。こういう環境では相手国との誤解が思わぬ危機に発展しやすい。北朝鮮が本当に何をしたいのか、それを探るためにも対話と交渉が必要となる。
 日朝平壌宣言は事実上死文化している。ただ前政権の外交の成果であり、北朝鮮も全否定はしにくいはずだ。平壌宣言を何らかの足場に使って、北朝鮮を国際的な対話に引き戻すことはできないか。知恵を絞ってみる価値はある。

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