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【京都新聞】 基準地価  観光特需の先を見通せ

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 地価の回復傾向が続いている。国土交通省発表の7月1日時点の基準地価は、商業地が2年連続で上昇、下落の続く住宅地も下げ幅を8年連続で縮小した。
 このところ東京、大阪、名古屋の三大都市圏で、訪日外国人客の急増に伴うホテル需要が地価を押し上げてきたが、京都でも観光特需が鮮明になった。商業地の上昇率で京都府が都道府県別で全国トップとなり、上位10地点のうち5地点を京都市が占めた。滋賀県は南部の商業地で上昇幅が拡大した。
 基本的には、地価上昇はデフレ懸念を後退させ、新たな投資や消費の呼び水として期待できよう。一方で、街並みに及ぼす影響や、固定資産税などの住民負担の増加も気にかかる。
 京都市中心部は新規の事業用地が少なく、建築規制の厳しさもあって、既存の町家を宿泊施設や店舗に転用するケースが相次いでいる。アジアの投資家が民泊や別荘向きのマンションを買い込み、一般市民が購入しにくくなっている側面もあるようだ。
 実際の収益性に見合わない投機的な取引が広がっていないか。長引く金融緩和が不動産市場をゆがめていないか。かつてのバブルの苦い教訓を思い起こし、政府、日銀、自治体は十分警戒しなければならない。
 全国一高い東京・銀座の「明治屋銀座ビル」は今回、1990~91年のバブル絶頂期を上回った。ニセコリゾートに近い北海道俱知安町樺山は上昇率28・6%と、住宅地では2年連続の全国1位だった。買い物やスキー目的の外国人客らの増加が背景だが、こうした突出ぶりは注視が必要だ。
 他県に目を転じると、やはり観光需要や再開発に支えられた地方の中核4市(札幌、仙台、広島、福岡)をけん引役に、それ以外の地方圏でも上昇または下げ幅を縮めた地点が増えた。半面、交通の不便な地域などでは落ち込みが進む。少子高齢化の中、都市と地方の二極化という課題に加え、地方間の格差が広がっている。
 「地方創生」「東京一極集中の是正」へ、官と民がもっと知恵を出し合いたい。今回注目された伏見稲荷大社の千本鳥居の「集客力」には驚かされるが、どの地域にも人・モノ・投資を呼び込める魅力的な資源はあるはずだ。観光以外の教育、福祉などの面で住みやすさをアピールする手もあろう。
 訪日客の波が引いても、活力を失わない安定したまちづくりを工夫したい。

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