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【西日本新聞】 トランプ氏演説 「協調主義」へかじを取れ

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 米国のトランプ大統領が、就任後初めて国連総会での一般討論演説を行った。「米国第一」を掲げるトランプ氏の「国連デビュー」に国際社会の注目が集まった。
 トランプ氏は演説で北朝鮮への対決姿勢を鮮明にした。「金正恩(キムジョンウン)体制は核・ミサイル開発を無謀に追求し、全世界に脅威を与えている」と非難し、「米国が自国や同盟国の防衛を迫られれば、北朝鮮を完全に破壊するしか選択肢がなくなる」などと過激な表現を使って北朝鮮を強くけん制した。
 さらにトランプ氏は、拉致被害者の横田めぐみさんを念頭に「北朝鮮は海岸から13歳の日本人の少女を拉致した」と述べ、拉致犯罪の非人道性を世界に訴えた。
 トランプ氏が国連総会の場で、北朝鮮の核・ミサイルの脅威をアピールしたのは、国連加盟国が北朝鮮の危険性に対する認識を高める上で大きな意味を持つ。拉致問題に言及して国際社会の関心を喚起したことも、日本にとってありがたい側面支援といえよう。
 ただ、米国が今後どれだけ北朝鮮問題で世界をリードできるかは不透明である。トランプ氏は北朝鮮に対する加盟国の一致した対応を呼び掛けたが、その一方で当のトランプ氏が国連の役割や国際協調主義を軽視する言動を繰り返してきた矛盾があるからだ。
 トランプ氏は大統領就任前、国連について「おしゃべりして過ごす仲良しクラブ」とツイッターで発信し、就任後も米国の国連拠出金の削減を主張している。地球温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱も表明した。
 北朝鮮のミサイル開発が進み、米国への脅威が増したことで、トランプ氏は北朝鮮包囲網の形成に迫られ、国際連携の重要性を訴え始めたのだろうが、これでは「ご都合主義」との批判を免れない。
 北朝鮮問題を契機に、トランプ氏は身勝手な「米国第一主義」を捨て、国際協調路線へかじを取るべきではないか。いかに米国が強大とはいえ、一国でやれることには限界がある。孤立していては米国本来の指導力も発揮できない。

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