Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 医師の働き方  長時間労働是正が急務
E200-KYOTO

【京都新聞】 医師の働き方  長時間労働是正が急務

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 長時間労働が問題になっている医師の「働き方改革」を巡り、厚生労働省の有識者検討会が初会合を開いた。命と健康を守るはずの医師が、過労死や過労自殺する痛ましいケースが後を絶たない。対策を急がなければならない。
 政府は3月に策定した働き方改革実行計画に、「最長で月100時間未満」などと定める残業上限規制を盛り込んだ。しかし、医師には正当な理由なしに診療を拒めない「応召義務」があるとして、適用を5年間猶予している。検討会では、2年間をめどに規制のあり方を議論する予定だ。
 厚労省によると、1週間の労働時間が60時間を超える勤務医の割合は2012年度41・8%で、雇用者全体の14%を大きく上回り、他のどの職種よりも高い。
 長時間の残業に加えて、宿直や呼び出しなどもあり、病院や診療所で働く勤務医を中心に、激務を強いられている。2016年度に過労死や過労自殺で労災認定された医師は4人に上る。
 今年5月には、16年1月に自殺した新潟市民病院(新潟市)の女性研修医が労災と認められ、7月には、15年7月に自殺した東京都内の総合病院の男性勤務医が労災認定された。いずれも長時間労働が原因だ。男性勤務医の時間外労働は最長で月208時間、休日は半年で5日間だけだったという。尋常な状況ではない。
 最高裁は今年7月、医師の年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟で「時間外賃金は通常賃金と明確に区別できなければならず、含まれない」と判断し、労基法の厳格な適用を求めた。職業の特殊性はあるものの、医師の使命感だけに頼っていてはなるまい。
 医師側から規制に反発する声もあり、労働時間短縮のために医師の数を急激に増やすことは難しい面もある。だが、検討会で委員から指摘があったように、医師も労働者であり、同じ人間である。働き方に自由裁量を認めたり、医師と協力して医療行為ができる診療看護師を導入したりするなど、負担軽減に知恵を出し合いたい。
 検討会では「極端な規制は地域医療を崩壊させる」との慎重論もあった。背景には地方などで医師不足が深刻な「医師偏在」の問題がある。厚労省の調査では、20代の勤務医の6割が地方で「働いてもよい」と答えたが、過酷な労働環境への不安がネックになっているという。自治体と協力して、環境改善を進め、医師の地方への定着も急ぎたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。