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【社会新報】 北朝鮮制裁決議 戦争法発動と連動していく恐れも

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 国連安保理は11日、核実験を強行した朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する新たな制裁決議を採択した。北朝鮮への石油輸出の3割減、同国製の繊維製品の全面禁輸、同国の海外労働者の雇用契約の更新禁止などを盛り込んだ。
 中ロとの駆け引きと妥協を受け、「北朝鮮の全滅は望んでいないが、そうするだけの多くの選択肢がある」(3日、マティス米国防長官)から、「非常に小さな一歩だ」(12日、トランプ米大統領)まで、伝えられる内容には振幅が生まれた。しかし、米朝相互の武力行使の威嚇は続き、丹羽宇一郎・元駐中国大使の言う「出口なき戦略」状況が続いている。国際関係のあり方として明らかに異常な事態なのに、それが当たり前になったかのようだ。日本政府は「全ての選択肢がテーブルの上にあるというトランプ米大統領を高く評価している」と繰り返すばかり。一方で同大統領が5日、「日本と韓国がアメリカから高性能の軍事装備を大量に購入することを認めるつもりだ」と、楽屋落ちというか、アメリカ・ファーストの本音丸出しの発言をしていることは要注意だ。
 新決議で気になるのは、当初案の公海上での貨物船の強制臨検ではないが、船が所属する「旗国」同意の上での臨検が盛り込まれたこと。これは日本にとって全く他人事ではない。
 目立たなかったものの、戦争法制定の一環として、船舶検査法(00年制定)も改正されている。「周辺事態」が地理的限定のない「重要影響事態」に拡大されたことに対応すると同時に、新法の国際平和支援法が対象とする「国際平和共同対処事態」における活動を可能とするためだ。同事態の要件は国連総会または安保理の決議の存在だ。武力行使ではなく、また他国の武力行使と一体化しないとの枠組みの制約の下で設けられた、乗船検査における船長の承諾、他国の活動との区別(非混交)の要件は改正前と変わらないが、武器使用権限が「自己保存型」から「自己の管理下に入った者」の防護を目的とする場合にまで拡大され、同意があれば外国領域での活動も可能とされている。
 この船舶検査法と、米軍の武器防護のための武器使用の発動は、極めてリアルに想定可能な事態であり、「まだ戦争ではない」と言いながら戦争への入り口に踏み込む恐れが大きい。出口戦略のない戦術的状況追随の代償は、誰が支払うことになるのだろうか。 (社会新報2017年9月20日号・主張より)

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