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【産経新聞】 衆院選あす公示 日本の針路を堂々と語れ 危機突破の処方箋が見たい

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 第48回衆院選が10日に公示される。北朝鮮情勢は極度に緊張している。経験したことのない厳しい情勢の下で、戦後日本の民主主義が試される選挙となる。
 直面する危機をどう乗り切るか。覚悟と具体的な処方箋が問われている。各党と各候補者は日本の針路を堂々と語ってほしい。
 選挙期間中、不測の事態に備えて政府が万全の態勢をとっておくべきことは言うまでもない。
 選挙戦は、現与党の自民・公明と、地方分権で足並みをそろえる希望・維新、左派系の立憲民主・共産・社民による3極対決の構図となった。
 ≪首相候補不在は異様だ≫
 ところが、安倍晋三首相(自民党総裁)以外に、選挙後の有力な首相候補が見当たらない。
 希望の党の小池百合子代表が、一気に国政で大きな勢力を誕生させることを標榜(ひょうぼう)しながら、自らの出馬を見送り、代わりとなる首相候補も示さないためだ。旗印を立てないままの戦いは、残念であり、無責任といえる。
 そうであっても、選挙戦では現在進行形の危機である北朝鮮問題を論じ、その解決策を見いだすことが引き続き重要である。
 日本記者クラブ主催の討論会などで各党首は、北朝鮮に核・ミサイル戦力を放棄させなければならないとの立場では一致した。だが、それを実現しようという道筋は分かれた。
 立憲民主党の枝野幸男代表や共産党の志位和夫委員長は、集団的自衛権の限定行使を認めた安全保障関連法は違憲だとして廃止を求めた。志位氏らは、日米が主導する圧力路線を批判し、北朝鮮との対話を促した。
 こうした考えは北朝鮮を利し、核・ミサイル戦力の完成を加速しかねない。「戦後平和主義」の流れを色濃く持つ左派系勢力は、国民の生命や平和を危うくしようとしていることに気付くべきだ。
 日米両国は、集団的自衛権の限定行使があり得ることを前提に協力している。同盟の絆は北朝鮮への強い抑止力となる。
 小池氏は「外交安全保障は安倍政権を支持する」と語り、現実的姿勢をとることを強調した。ただ、民進党から合流した多くの候補が同調するだろうか。
 憲法改正は「希望・維新」が前向きな姿勢を示し、一見、改憲の機運を高めたようにみえる。それでも、小池氏は憲法への自衛隊明記について「(9条)3項で進めるのは大いに疑問がある」と否定的な考えを示した。
 公明党の山口那津男代表は自民党と同じ与党でありながら、党として9条の議論を進める考えは示さなかった。自民と維新は公約で9条改正の立場をとっている。各陣営にねじれがみられるが、さらに論戦を重ねる必要がある。
 ≪「リアル」な成長論議を≫
 企業収益や雇用環境の改善で日本経済は上向いているが、多くの国民は将来への不安を抱いている。程度の差はあれ、与野党が認識を共有できるところだろう。
 スローガンではなく、今の状況から脱却する具体的かつ現実的な方策を、各党は競い合わなければならない。
 焦点の消費税増税について、安倍首相は教育無償化などにも増税分を充当できるよう使途変更することを提起した。少子高齢化を国難と位置付けるからだ。
 しかし、それにより2020年度に基礎的財政収支を黒字化する財政再建目標は達成できなくなる。どう対応するのか。
 首相は、新たな黒字化目標の達成時期について「現段階では示せない」と語った。成長に伴う税収増に期待し、歳出入改革の具体的な方向を示さないのは、将来世代への責任ある態度ではない。
 予定通りの増税に反対する希望や立憲民主は、どこまで社会保障制度の安定性や、その基盤となる財政に責任を持つ気があるか。
 小池氏は、消費税率10%について、社会保障費の増大を踏まえて根源的に見直すよう立ち止まるべきだという。企業への内部留保課税や、生活に最低限必要なお金を国民全員に給付するベーシックインカムなども羅列した。
 制度設計はこれからでは、政権を託す判断材料にならない。
 魔法の杖(つえ)など存在しない。有権者受けしそうな政策を並べるだけでは展望は開けまい。将来への不安感こそが成長を阻んでいる現実に、各党は向き合うべきだ。

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