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【京都新聞】 震災復興  内実に政治の目向けて

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 衆院選の公示日に、福島地裁で重要な言い渡しがあった。
 福島第1原発事故をめぐり、国と東京電力の責任を認め、被害救済の対象を広げた判決だ。
 賠償制度の不備を浮き彫りにし、被災住民の苦難が今も続いている現状を突きつけたといえる。
 東日本大震災から6年7カ月、5度目の国政選挙となる。選挙の争点が並ぶ中で、震災復興の影は薄い。震災の風化は政治でも進んでいる。それが現実ではないか。
 震災の避難者は今年5月に10万人を初めて切った。自主避難者の住宅無償提供が3月末で打ち切られ、民間賃貸住宅(みなし仮設住宅)を出ざるを得なかった人などが、避難者の数に計上されなかったからだ。生活再建につながっているのかは分からない。
 避難者が暮らす災害公営住宅では、来年度から家賃の実質値上げが相次ぐと言われる。低所得者に対する国の家賃補助が段階的に縮小するためだ。岩手、宮城、福島3県の入居世帯の約7割に影響する心配がある。
 こうした復興の内実に、もっと政治の目を向ける必要がある。
 津波に襲われた沿岸部を中心に、大型公共工事は進んでいる。昨年4月から「復興・創生期間」が始まり、防潮堤など海岸対策は計画の9割で着工、復興道路はすべて着工し5割で完了している。
 しかし、予定工事を前倒しで進めたことで、完了後の仕事激減を心配する建設業者もあるという。財政力の弱い被災自治体からは、公共事業費の一部負担や完成後の維持管理に不安の声も出ている。
 宅地造成は計画の7割超、災害公営住宅は8割以上が完成したが、思わぬ問題にぶつかっている。避難者の意向が変わるなどして、造成地に空き地ができ、公営住宅でも高齢者が多くて空き室が増える見通しという。
 一方で、被災者の住宅再建率に地域差が出てきている。
 動きだしたら止まらないのが公共事業だが、状況の変化に伴い復興計画を見直す議論があっていいのではないか。国ではなく地元主導で将来を描き直す、といった議論が選挙の中で出てきてほしい。
 各党の公約に「震災復興」の文字はあるが、具体的な対応策はほとんど見当たらない。各党の考えを聞かせてもらいたい。
 政治の実態は、社会的に弱いところに現れるという。党の政策や立候補者の訴えから政治姿勢を見極めることが、被災地の復興や生活再建につながるのではないか。

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