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【秋田魁新報】 [2017衆院選]首相の政治姿勢 問われる1強の強引さ

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 5年近くに及ぶ安倍政権への評価が、今回の衆院選の最大の争点だ。安倍晋三首相は有効求人倍率が全国各地で1倍を超えたなどとアベノミクスの成果を強調するが、地方に成長実感はあるのだろうか。集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法や、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法などを成立させたが、政府の説明不足を指摘する批判は根強い。
 何より、与党で衆院の議席の3分の2超、参院で6割を占める数の力を背景に、法案採決を強行してきた点は見過ごせない。言論の府と呼ばれる国会で、野党の主張が軽視されている。審議を尽くさず、論戦を打ち切る強引さに首相の政治姿勢が表れている。
 世論調査を見れば、野党の主張は決して少数意見ではないことが分かる。法案成立後の調査では、安保関連法は反対が53%に上り、賛成を20ポイント近く上回ったほか、8割が「審議が尽くされたと思わない」と答えた。組織犯罪処罰法は賛成42%、反対44%と拮抗(きっこう)。やはり8割以上が政府の説明は「不十分」とした。
 なぜこのようなことが起きるのか。2014年の前回衆院選で自民党は475議席中、290議席を獲得した。比例代表を見れば、全有権者に占める自民党の得票率(絶対得票率)は16・99%に過ぎないのに、比例定数(180)の4割近い68議席を獲得した。秋田1~3区で当選した自民前職も絶対得票率は25・0~29・1%止まりだ。
 比例の投票率は52・65%と低迷し、本県小選挙区の投票率も55・78%と戦後最低だった。投票率の低さが、少ない得票数で多くの議席を得られる要因になっている。「安倍1強」は、盤石な土台の上に築かれているわけではない。
 さらに、安倍首相は選挙のたびに経済政策などを重点的に訴え、選挙後に安保関連法などの重要法案を突然持ち出す手法を取ってきた。選挙戦で十分語られなかった法案に賛意を示したつもりはない、という有権者もいるだろう。
 今回の解散の唐突さも、安倍首相の政治姿勢を象徴している。首相や首相夫人の関与が疑われる加計(かけ)学園、森友学園問題について、首相は何度も「丁寧な説明」を約束した。だが、臨時国会を召集したにもかかわらず、説明や議論する機会を設けず冒頭解散に打って出た。国会軽視で説明責任の放棄に等しい。
 希望の党は公約に「隠ぺいゼロ」を掲げ徹底した情報公開を主張、共産党も重点政策に「森友・加計疑惑の徹底究明」を挙げる。首相は「私が関与したと言った人は一人もいない」と疑惑を否定するが、ならば臨時国会で堂々と説明すべきだった。首相の政治姿勢が問われている。
 一方、投票率次第では、少ない得票で多くの議席を占める前回衆院選のような結果があり得ることを、有権者は胸に刻む必要がある。

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