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【宮崎日日新聞】 第69回宮日美展

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◆県民の「声」が聞こえてくる◆
 第69回宮日総合美術展(宮崎日日新聞社主催、県、県教委など後援)が15日まで、宮崎市の県立美術館で開催中だ。
 今年は台風のため作品受け付けの日程が3日間から2日間に短縮され、影響が心配された。また9月30日の開幕直前に衆院が解散。事実上の選挙戦に突入し、10日には公示を迎えた。ゆっくりと「芸術の秋」を楽しむ雰囲気は持ちにくいかもしれないが、表現者たちの魂が感じられる力作ぞろいである。ぜひ来場し、作品から聞こえる「声」に耳を傾けてほしい。 入選・入賞が自信に
 昨年まで1100点を超えていた出品点数が、今年は1007点に減少した。台風の影響が大きかったのか、公募展離れが進んでいるのか総括は必要だが、第一線で活躍する画家や彫刻家、写真家ら8人の審査員が選び抜いた入選・入賞作品は今年も水準が高い。
 惜しくも選外だった作品を含め、書道部門の森嶋隆鳳(りゅうほう)氏(日展会員)は「全体に相当レベルが高い」、絵画部門の草薙(くさなぎ)奈津子氏(平塚市美術館館長)は「一定以上の水準に達した作品が多かった」と評した。県民の表現力が高い評価を得たことは、自信にしたい。
 一方、草薙氏は「『突出している』と感じさせる作品が多かったわけではない」と指摘もしている。デザイン部門の谷口広樹氏(グラフィックデザイナー)は「いいアイデアがあっても、テクニックが弱く表現になっていない作品があったのは残念」と語っていた。
 厳しく感じるかもしれないが、試行錯誤しながら制作している出品者にとって、客観的な目で審査され、総評などで課題や助言を聞ける公募展は、自分の表現を見つめ直す機会になるだろう。
 特選受賞者からも「自分なりの油絵を描く方法を模索していて、賞が自信になった」「書を人生そのものにしていいか自信がなく葛藤していた。受賞により認めてもらえた気がした」という声があった。今後も、県民の励みや刺激になるような公募展でありたい。 戦争憎む気持ち表現
 宮日美展創設は1949(昭和24)年。創作発表の機会が限られていた作家たちのため、また戦争で疲弊した県民の心を芸術で潤したいという願いが原点にあった。
 彫刻部門特選のイサム・イダニさん(54)の紹介記事(9月30日付)は創生期を振り返らせてくれる。イラクの出身。美術大学卒業後、イラン・イラク戦争に伴う兵役を拒否して投獄され、逃亡先では難民生活を送った。本県出身の女性と結婚し十数年前に宮崎市に移住。「地球を破壊し、子どもたちの未来を奪う戦争はすべて間違いだというメッセージをアートで伝えたい」と制作を続けている。
 こういった「魂の声」に触れられるのも美展という器があるからこそ。戦争をなくしたい。命を尊びたい。穏やかな日常を守りたい-。会場にあふれる声と「対話」できるのも美展の楽しみだ。

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