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【山陽新聞】 経済政策 回復を実感できる策競え

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 わが国は統計上、景気が拡大しているものの、その「豊かさ」を国民の多くは実感できていない。安倍政権の経済政策「アベノミクス」を継続するかどうかは衆院選の争点の一つである。
 与党は企業業績や雇用を改善した実績をアピールしている。「アベノミクス三本の矢を放つことで日本経済の停滞を打破し、プラス成長へ大きく転換できた」。安倍晋三首相が先月25日、衆院の解散方針を表明した記者会見で胸を張ったのが象徴的だ。
 確かに、2012年12月の第2次安倍政権の発足と時を同じくして始まった景気拡大は58カ月に及び、1965年からの「いざなぎ景気」を抜き、戦後2番目の長さになった可能性が高い。有効求人倍率は1・5倍超と過去40年で最も高い水準にあり、きのうの東京株式市場は日経平均株価(225種)の終値が約21年ぶりの高値となった。
 ところが、円安、株高で大企業は潤ったとはいえ、地方や中小企業には恩恵が広がっていないとされる。企業の利益のうち、労働者の取り分を示す「労働分配率」が15、16年度、過去20年で最低レベルだったことが示すように、賃上げが不十分なため、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費はさえない。
 アベノミクスは大胆な金融緩和と機動的な財政出動、規制緩和による成長戦略が3本柱だ。中でも、景気回復に最も貢献したとされるのが日銀の金融緩和である。
 黒田東彦総裁はマイナス金利政策や大量の国債買い入れといった「異次元緩和」で円安、株高を演出した。2%の物価上昇目標は果たせないままだが、「デフレではない状況」には何とか至った。
 しかし、極度の低金利状況は借金を減らそうとする国の努力を鈍らせたと副作用を指摘する声は多い。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が先月、保有資産の縮小を決め、米欧は金融緩和策から正常化に向かう中、日銀が「出口」を見通せず緩和を続けることに対する不安はくすぶっている。
 衆院選の公約で自民党はアベノミクス加速を掲げ、今後3年間をロボットや人工知能(AI)などによる「生産性革命」の集中投資期間とし、企業の収益を設備や人材投資に振り向けるとしている。
 だが、これまでの政策の検証は十分と言い難い。成果ばかりでなく課題も率直に見極めて、足りなかったことを補う政策を示さなければ有権者の理解は得にくかろう。
 一方、野党は希望の党が徹底した規制改革と特区を最大限活用して民間の活力を引き出すとし、立憲民主党は「中間層を激減させたままで経済は再生しない」とアベノミクスを批判している。だが、経済再生の道筋をどこまで具体的に描けているかは見えづらい。アベノミクスの功罪を総括した上で、説得力ある方針を示すべきだ。

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