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【岩手日報】 衆院選 震災復興 そっぽ向いてる場合か

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 東日本大震災から6年7カ月。これが風化ということなのか。衆院選で、震災復興の論戦が低調なままだ。
 「地震・津波被災地域の復興は、2020年度までに必ずやり遂げるとの意志で取り組む」(自民)、「行政のワンストップサービス化などに国として最優先で取り組む」(希望)、「被災地再生に向けた取り組みの一層強化」(立憲民主)など、各党は公約で触れてはいる。
 だが、消費税や憲法をめぐる論戦、さらには選挙後の連立話が盛り上がる中で、復興はかすんでいる。被災者から「もはや自分たちは忘れられているのだろうか」といった声が出るのも無理はない。
 被災地から遠のく政治。思えば、その前触れが4月、前復興相の「(震災の被害が)まだ東北で、あっちの方だったから良かった」との失言だった。
 政治は今、どっちを向いているのか。各候補者は自らの視座を再確認し、被災地の現実を見つめてほしい。
 被災3県では災害公営住宅の完成率が8割を超え、18年度末には整備がほぼ終わる予定。ハード面では確かに復興が進んでいる。
 一方で、避難者は今なお全国8万4千人超。本県でも1万人を超える。将来展望を描けず、狭い仮設住宅で孤独に暮らす住民は多い。
 災害公営住宅に入居を果たした住民も、これからが正念場となる。仮設のコミュニティーを離れ、ご近所づきあいも仕切り直しだ。
 さらに、低所得世帯の家賃負担を軽減している国の事業は、入居6年目以降に補助が減少。早ければ本年度中から家賃が上がり始めるだけに、「一人一人の支援」の充実が今こそ求められている。
 生活環境が整っても、心の復興に長い時間がかかることは、阪神大震災など過去の大災害の経験からも明らかだ。とりわけ遺族や、行方不明者の家族の悲しみからの回復は一歩一歩。「復興・創生期間」が終わる20年度で心の復興も一区切り、とはいかない。
 かさ上げされた中心市街地に、どうにぎわいを取り戻すか。移転元地をどう活用するか。急速な高齢化に対応する保健医療や介護のネットワークをどう構築するか。数々の難題に対処するには、長期的視野が不可欠なはずだ。
 福島原発事故の被災者集団訴訟では、3地裁でいずれも国の指針を超える賠償命令が出た。現行の賠償制度の不十分さが浮かび上がる中、拡充に向けた議論も急がれる。
 6年7カ月の現状を前に、そっぽを向いている場合ではない。政治が災害復興を短いスパンでしか捉えられないのなら、来るべき大災害時の対応も期待できない。
 

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