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【茨城新聞】 衆院選・知る権利 何をどう変えるべきか

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衆院選で森友、加計問題を巡り野党が政権批判を強める中、安倍晋三首相は多くを語らない。日本記者クラブや報道各社の党首討論で野党などから質問が相次いでも、正面から答えず「国会で丁寧に説明してきた」「私が関与したと言う人は一人もいない」などと、自らの潔白を強調する姿勢に終始した。街頭演説で説明することもない。
首相に代わり昭恵夫人が支持を訴える地元山口県では、安倍事務所が「関係者の安全確保」などを理由に選挙期間中の個人演説会への取材を拒否する方針を報道各社に伝えた。演説会には夫人も出席する。森友問題で野党から証人喚問を要求されている夫人が目立つのを避けたいのだろう。
対する野党は衆院解散を「疑惑隠し」と一斉に非難。「憲法に知る権利を明記」や「森友、加計問題に関する情報を全て公開」「政府の情報隠蔽(いんぺい)阻止」を公約に掲げ、情報公開・公文書管理制度見直しを訴えている。だが見直しの具体的な中身は見えず、「説明責任を全うするため、行政文書の適正な管理に努める」とする自民党の公約との違いも分かりにくい。
5年近くに及ぶ安倍政治の下で特定秘密保護法の施行などにより、国民の知る権利は大きく後退した。制度の何をどう変えるべきか。民主主義の根幹に関わる重要なテーマであり、野党は積極的に語り、選挙後の議論につなげてもらいたい。
安倍首相は民放の番組で公文書管理に触れ「反省点だ。見直しをしたい」と述べた。財務省は森友学園側との国有地売却交渉の記録を廃棄したとして説明を拒んだ。首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設を巡っては、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」を持ち出され、圧力を受けたとしたのに対し、内閣は「言っていない」と全面否定した。
「言った」「言わない」。さらに「記録がない」「記憶はない」といった応酬の繰り返しで疑惑解明は進まなかった。これが批判の的になり、政府は選挙前から公文書管理のガイドライン見直しに取り掛かっている。
政策立案などに影響する役所内や外部との打ち合わせ記録を情報公開の対象とするのが柱だ。ただ、そうした記録の作成に当たり複数の担当職員が内容を確認し合うといい、一方に都合の悪い「総理のご意向」のような情報は削られてしまう恐れが指摘されている。
首相がかねて強調している「丁寧な説明」にはつながらないだろう。問題はまだある。やはり知る権利を支える情報公開制度の見直しが手付かずのままになっていることだ。かつて旧民主党政権は、裁判官が非公開の場で文書をじかに見て開示の可否を判断する「インカメラ審理」や、非開示とされた文書の開示を首相が勧告できる制度の導入を目指し、情報公開法の改正案をまとめた。
しかし政権交代で実現しなかった。安倍政権は情報公開には見向きもせず、国の安全保障に関わる情報を特定秘密に指定し保全する特定秘密保護法の成立・施行を強行し、情報統制を強めた。そうした長年のツケが森友、加計問題で一気に噴き出したともいえよう。
たとえ国民にとって重要な情報であっても、役所は政権の意向を忖度(そんたく)して隠したり、捨てたりするという疑念が拭えない。手をこまねいていては、知る権利が危うい。

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