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【信濃毎日新聞】 国民審査 まだ改善の余地がある

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
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 衆院選の陰に隠れがちだが、最高裁判所の裁判官国民審査も一緒に行われる。
 対象は2014年の前回衆院選後に任命された7人。辞めさせたい裁判官の氏名の上に×印を付ける。最高裁の裁判官は内閣が任命する。首相がその気になれば自分の言うことを聞く人ばかりにできる。司法を民主的にコントロールする重要な機会だ。積極的に生かしたい。
 今回は改善された点がある。関係法の改正で期日前投票の期間が衆院選と同じになったことだ。
 これまでは衆院選の期日前投票開始より4日遅かった。前回の場合、国民審査の投票者数が衆院選より190万人近くも少なかった。期日のずれの影響が大きい。
 総務省は、投票用紙に裁判官の氏名を印刷する時間がかかることを理由にしてきた。やればできることを長年放置し、多くの人の投票機会が失われた責任は大きい。
 改めるべきことはまだ多い。
 ×を付けなければ信任とみなされる。過去23回の国民審査で各裁判官の×印の割合は10%前後で推移、有効投票の過半数に達して罷免された裁判官は一人もいない。
 だからといって皆、信任が厚いわけではない。裁判官の情報が少なすぎて、多くの人が判断が付かないのが現実だろう。
 主な判断材料は、新聞の折り込みなどで配られる公報だ。略歴と関与した主要な裁判、心構えの3項目しかない。裁判例は法律用語が多用され、分かりにくい。
 共同通信が審査対象の裁判官にアンケートしたが、衆院選の争点でもある憲法改正や、原発関連訴訟への姿勢、死刑制度の是非について、ほとんどが回答を控えた。
 対象裁判官をもっと有権者に近づけるには、そろって記者会見するなどし、さまざまなメディアを通じて発信する工夫が必要だ。その上で有権者の積極的な意思を示すため「○×」式への変更も考えてほしい。
 なぜ最高裁裁判官に選ばれたのか。透明度を高めることも有権者の判断のために欠かせない。
 前回の国民審査後、15人の裁判官全員で構成する大法廷では、例えばこんな判決を出している。
 ▽結婚時に夫婦同姓になることしか選べないのは合憲▽令状がなくGPS(衛星利用測位システム)端末を車に取り付ける捜査は違法▽参院選で1票の格差が3倍でも合憲―。
 割と身近な問題に結論を出している。それぞれの裁判官の判断に目を凝らし、一票を投じよう。 (10月22日)

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