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【北國新聞】 衆院選の与党勝利 安保、経済政策に安定感

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 衆院選は大方の予想通り、与党が300を超える議席を得て勝利した。北陸は石川、富山、福井の小選挙区で自民党が8議席全てを取る「完勝」だった。
 安倍政権に代わる「受け皿」として期待された希望の党が早々に失速したことで、「政権選択選挙」の期待は薄れ、安倍政権の是非を問う「信任投票」の色合いが強まった印象である。
 自民は単独過半数の233議席を上回ったが、それでも「圧勝」といえるほどの強さは感じられなかった。民進党が希望と立憲民主党に分裂し、安倍政権への批判票を食い合う構図となったことが、結果的に自民に有利に働いた。
 これにより、希望や日本維新の会を含め、憲法改正に前向きな勢力の議席が、発議に必要な3分の2を大きく上回った。安倍晋三首相は国政選挙5連勝という希有な実績を引っ提げ、来年秋の総裁3選を経て、悲願の改憲に挑むことになろう。
 与党が勝利を手にした一つ目の理由は、外交・安全保障分野での安定感である。北朝鮮がミサイル発射を繰り返し、水爆とみられる核実験を実施したことで、米朝間の軍事的緊張が高まっている。
 米朝間の軍事的緊張は、今年末から来年にかけてピークに達するとの見方もあるなか、安倍政権はトランプ米大統領と良好な関係を築き、圧力路線をリードしてきた。北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)が完成するまでは対話に応じないとしている。そうなる前に対話の席へ引き出すには、国際社会の力を借りて圧力を最大レベルにまで引き上げるほかない。
 一部の野党は安倍政権の「圧力一辺倒」に懸念を示すが、対話のための対話では展望は開けない。安倍政権の圧力路線は国民の理解を得たといえよう。
 同時に、集団的自衛権行使を可能にした安全保障関連法や特定秘密法が日米同盟の強化につながった実績も見逃せない。「票にならない」とやゆされながらも、与党が外交・安全保障政策に正面から取り組んできた結果だろう。北朝鮮の軍事的脅威により、今や国民の最大関心事となった外交・安全保障分野で、与党と野党の温度差は明白だった。
 与党が勝利した二つ目の理由は、経済政策への信頼である。野党はアベノミクスについて「結果を出せず失敗だった」と主張し、国民の間にも「景気回復を実感できない」という声がある。
 だが、選挙期間中に日経平均株価は高値更新を続け、景気動向指数は57カ月連続で改善して半世紀前の「いざなぎ景気」に並んだ。2012年に500兆円を割り込んでいた国内総生産(GDP)は今年、543兆円に達した。
 野党はアベノミクスに代わる経済政策を示せていない。現行の政策をどう転換すれば、どんな成果が期待できるのかを理論立てて説明できなければ、批判のための批判といわれかねない。
 消費税率の引き上げと、使途変更については、2年も先の話であり、国民の側も実感がわかなかったのではないか。国民の支持を得たと思うのは早計だ。経済情勢を見ながら、慎重に判断する必要がある。
 各種世論調査を見ると、自民の支持率は比較的高く、安定している半面、安倍政権への支持率は「支持しない」が「支持する」を上回るケースが多い。安倍政権に「1強」のおごりを見て取る国民が少なくないからだろう。安倍首相は初心に帰り、謙虚で慎重な政権運営に努めてほしい。
 野党や一部メディアは、今選挙を野党の準備不足につけ込んだ「大義なき解散」、「森友、加計学園隠し」などと批判し、異口同音に「安倍1強政治」の弊害を訴えた。だが、過去の解散・総選挙に「大義」があった例はほとんどなく、国民の関心が薄れた「もりかけ」主体の政権批判は迫力を欠いた。
 台風の目になると思われた希望の党は、「排除の論理」を明言したことなどが反発を招き、結成当初の期待はあっという間にしぼんだ。むしろ希望の党から排除された民進党議員でつくる立憲民主党が「同情票」を得て躍進したのは皮肉な結果だった。今後、野党は再び再編含みとなり、離合集散の動きが活発化するのではないか。

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