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【京都新聞】 与党衆院選勝利  改憲論議は避けて通れない

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 与党の勝利である。
 台風の影響で一部地域の即日開票が見送られたが、自民党は早々に単独過半数を確保した。与党の公明党、改憲勢力とされる希望の党、日本維新の会を合わせた議席数は、憲法改正の発議に必要な3分の2を大きく超えた。
 京都の小選挙区では、自民が公示前より1議席増やした。滋賀でも、4選挙区すべてで勝利した。
 安倍晋三首相は信任されたことになり、続投する見通しとなった。
 アベノミクスは継続へ
 アベノミクスは、さらに推進される。核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応は、「圧力」を強める首相の路線が継続される。消費税率は、よほどのことがない限り、2019年10月に引き上げられる。ただし、増収分の使途は変更される。改憲に向けた動きは、加速するだろう。
 選挙結果は受け入れなくてはならない。だが、ふに落ちないところもある。
 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を強引に成立させたことや、森友・加計学園を巡る疑惑で「おごり」を指摘され、内閣支持率は一時急落した。
 東京都議選で自民党が惨敗したのは、ついこの間のことである。
 首相は、内閣改造をしたばかりなのに、野党の選挙態勢が整っていないのをみて、解散に踏み切った。「疑惑隠しだ」「大義がない」と、厳しく批判されていた。
 それなのに勝利した。主な原因は、小選挙区では結束しなければ与党に勝てない野党が、またしても分裂したことにある。
 都議選大勝の余勢を駆って、小池百合子東京都知事は希望を立ち上げ、野党第1党だった民進党を吸収し、自公政権と対決する戦略を立てた。
 ところが、民進が希望への合流組と無所属、新たに発足した立憲民主党に3分割され、希望の勢力は後退した。
 小池氏が、「排除」という言い回しで、民進からの候補を選別したことを敗因とする声があったが、果たして、それだけであろうか。
 政党政治ないがしろに
 民進にいたときは安全保障関連法に反対した人物が、容認する希望に駆け込む節操のなさや、政権選択選挙で首相候補を明言せず、与党を批判しながら連携に含みを残す無責任さが、嫌われたのではないか。
 これらは、いずれも民主主義を支える政党政治を、ないがしろにするものだ。筋を通したかたちの立憲民主が、野党第1党に浮上したことからも、有権者がそう判断したのは間違いない。
 希望の態勢立て直しは、民進再結集の動きもある中、容易ではなかろう。
 いわば敵失による勝利とはいえ、自民が今回の選挙公約に、改憲項目を掲げていたことを忘れてはならない。
 教育の無償化、緊急事態対応、参院の合区解消、そして憲法に自衛隊を明記すること-の四つである。
 希望と維新は、9条を含めた改憲論議に参加する意向を示している。
 くどいようだが、立憲民主に共産党、社民党などを加えた首相主導の改憲に反対する勢力は、発議を阻止する3分の1の議席を獲得できなかった。
 改憲論議を避けて通ることは、もはや不可能に近くなったといえる。国民は今後、改憲項目をめぐる各党の動きなどを、直視する必要がある。
 首相は、2020年の新憲法施行を目指している。衆院選の勝利で国民の信を得たと判断すれば、首相指名の特別国会後に臨時国会を召集し、改正原案を提示するかもしれない。早ければ、与野党の協議の後、来年の通常国会で改正案を発議し、国民投票にかける可能性もありそうだ。
 しかし、最近の世論調査では、安倍政権下での改憲に賛成なのは3割台で、半数以上は反対している。
 論戦かみ合わなかった
 政権のパートナーである公明は、一貫して慎重な姿勢を取っている。野党第1党となった立憲民主との協議が重要だが、安保法制を違憲としており、すんなりいくとは思えない。首相も言う通り、「スケジュールありき」ではなかろう。
 疑惑も含め、おごらず、丁寧に議論を重ね、国民への説明責任を果たすべきだ。
 今回の衆院選は、18歳選挙権のもとで初めて行われた。だが、突然の解散で新党などの政策が練り上げられておらず、論戦がかみ合わなかったところもあった。
 特に消費税では、税率を引き上げなかった場合の代わりの財源について、あまり語られなかった。将来の日本を担う若い世代が、この論点を理解していないようなら、それは政党の責任と認識してほしい。

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