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【陸奥新報】 衆院選に審判「与党勝利も“敵失”否めず」

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 衆院選に国民の審判が下った。2012年12月から5年近くにわたる安倍晋三首相の政権運営に対する評価が最大の争点となったが、結果的に有権者は安倍政権の継続を選択した形だ。
 衆院選は自民党・公明党の与党に対し「希望の党・日本維新の会」と「共産党・立憲民主党・社民党」が挑む3極対決の構図となり「安倍1強」体制を維持できるかどうかが最大の焦点となった。
 選挙期間中の本紙世論調査では、安倍内閣を「支持しない」が「支持する」を上回り、選挙後の望ましい衆院勢力については「与党と野党の勢力伯仲」と答えた有権者が最も多かった。しかしながら野党各党の支持率はいずれも低調で、開票結果を見ても自民・公明の与党が「絶対安定多数」を確保する見通しだ。
 野党は候補の競合によって政権批判票が分散し、自民党を利する形になったといえる。それ以上に、全国的な低投票率を見ると、台風21号が影響した可能性があるものの、勝因は「敵失」との見方は否めない。有権者は、政権批判の受け皿になるべき野党勢力にも信を寄せられなかったということだろう。
 今回は公示直前に野党第1党だった民進党が分裂し、小池百合子東京都知事率いる希望の党と、これに加わらない民進党リベラル系の前衆院議員らが参加した立憲民主党の二つの新党が相次いで誕生、野党再編が慌ただしく進んだ。
 希望は一時、政権奪取までささやかれる勢いだったが、民進リベラル派を「排除する」とした小池氏の発言や「自民の補完勢力」といった指摘が響き、一転して逆風に。希望への合流によって共産、社民との共闘関係も崩れた。
 選挙戦中盤の本紙世論調査で、希望への民進合流を「評価しない」とする有権者は半数以上を占めた。公示直前に民進から希望へと看板を変えた候補者に対する戸惑いも少なくなかったことだろう。
 国政は、今回の争点ともなった憲法改正、消費増税や増税の使い道を含めた社会保障の在り方、原子力政策など重要課題が山積する。中でも憲法改正に関しては、自民、公明の与党に希望、日本維新の会を加えた「憲法改正勢力」が改憲発議に必要な310議席を占めることが確実になり、改憲論議が本格化するものとみられる。ただ、本紙世論調査を見ても改憲反対が多く、今回の選挙で争点と捉える有権者は決して多くはなかった。
 衆院選大勝も「敵失」による消極的な選択であることが否めないことを安倍政権は肝に銘じ、決して数におごることなく、国民目線での政治で負託に応えなければならない。
 同時に、いかなる理由があるにせよ、前回に続く全国的な低投票率は恥ずべきことである。国の将来に対し自らの意思を示す一票の行使の大切さを国民はもっと自覚すべきである。

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