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【朝日新聞】 米中首脳会談 「協調」演出に潜む懸念

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 異例の熱烈歓迎ぶりだった。トランプ米大統領の訪中は、明朝以来600年の歴史を有する故宮での歓談から始まった。
 そのもてなしが象徴するように、米中の首脳会談は「協調」ムードの演出に終始した。
 両大国の対話が建設的に深化したならば、国際社会の安定に資するはずだ。だが、両首脳が発したメッセージを見る限り、外交的な美辞麗句以上の責任ある姿勢は読み取れない。
 米国第一主義を掲げるトランプ政権がめざすアジア戦略とは何なのか。中国国内の権力集中を図る習近平(シーチンピン)国家主席は、対外的に強硬姿勢を強めるのか。
 日本などアジア各国が抱く、そうした不安をやわらげるには、あまりに配慮の乏しい会談だった。
 北朝鮮問題をめぐり、トランプ氏の発言は変化した。日韓では「比類のない軍事力」「力による平和」を説いたが、北京では国連制裁の完全履行など穏当な言い方にとどまった。
 制裁については習氏も「完全で厳格な履行」に同調したが、もともと米中は圧力と対話の力点が違う。朝鮮半島の軍事的な混乱を避けるために、両首脳がどう折り合い、対立したのか、周辺国には見えないままだ。
 もうひとつの焦点である通商問題では、米中間で計2500億ドル(約28兆円)の商談がまとまったと発表した。だがこれも、本質的な改善には結びつかない。
 そもそも、米中の関係だけが円満に収まれば済むものではない。本来は中国の健全な市場化に向けた改革を促すのが、米国の役割であるはずだ。
 両首脳は共同会見で「世界に重い責任を担う」大国と自任したが、ならば二国間取引に腐心するより大切な役割がある。世界の平和と繁栄をめざす安定的な枠組みをどう築くか、米中が協調して描くことだ。
 その意味で米中の意図が見えないのが、アジアにとって最大の懸念だ。とりわけトランプ政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱したことで、アジア全体への関与の意思が問われている。
 陰る米国の存在感を埋めるように台頭する中国は、「中華民族の復興」を強調し、法の支配や人権といった普遍的な理念を尊重するようには見えない。
 新旧両大国の内向きのパワーゲームの将来に、どの国も懸念を抱くのは当然だろう。トランプ氏が本当に米国の威信を取り戻したいのなら、続く歴訪の中で米国の前向きなアジア関与の決意を明確に発するべきだ。

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