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【読売新聞】 米中首脳会談 「北」への危機感にズレがある

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 北朝鮮情勢がこれ以上悪化すれば、国境を接する中国に混乱が波及するのは避けられまい。
 習近平国家主席は、北朝鮮の核・ミサイル開発阻止に向けた圧力強化が喫緊の課題であることを認識すべきだ。
 トランプ米大統領が訪中し、習氏と会談した。北朝鮮問題について「時間は尽きようとしている。迅速に行動しなければならない」と述べ、制裁などの取り組みを加速させるよう迫った。「中国は容易に解決できる」とも語った。
 習氏は、国連安全保障理事会の制裁決議の「厳格な履行」と、「対話による解決」という従来の立場を繰り返すにとどまった。圧力強化の方針を明確に打ち出さなかったのは遺憾である。
 中国はエネルギー供給で北朝鮮経済の生命線を握る。国内で活動する北朝鮮企業の営業停止などの措置を取ったが、北朝鮮の暴挙を止めるには至っていない。
 安保理決議の履行は、国連加盟国の義務に過ぎない。石油輸出を大幅に削減するなど、中国が実効性のある独自制裁に早急に踏み込まなければ、軍事的な緊張は高まるばかりだろう。
 懸念されるのは、習氏が「太平洋は米中両国を受け入れるのに十分な大きさがある」と発言したことだ。米中が相互の利益を尊重し、アジア太平洋の秩序を主導するとの考えが込められている。
 オバマ前大統領に提案し、否定された構想を再び持ち出した。共産党大会で政権基盤を固めた習氏は、覇権的な動きを米国に黙認させたいのではないか。
 米国は、日本などと共に、中国に対して「法の支配」の重要性を説き続け、アジア太平洋地域の安定と繁栄に建設的な役割を果たすよう促さねばならない。
 中国が国際法を無視して軍事拠点化を進める南シナ海で、米軍の「航行の自由」作戦の頻度を増やす必要もある。
 トランプ氏の訪中に合わせて、米中の企業などは、総額2500億ドル(約28兆円)の商談を成立させた。単発の契約の積み重ねでは、米国が求める構造的な貿易不均衡の是正とは言い難い。
 北京中心部にある世界遺産の故宮で、習氏はトランプ氏を自ら案内し、もてなした。
 中国高官が「国賓以上」と位置付ける異例の厚遇は、中国側が「良好な大国関係」の構築に腐心していることの表れと言える。
 友好ムードを演出しても、安全保障や通商問題を巡る米中の溝は覆い隠せまい。

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