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【中日新聞】 「加計」認可答申 疑惑の免罪符ではない

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 疑惑が晴れないのに、学校法人加計学園に獣医学部を開設させていいのだろうか。文部科学省の審議会は教育環境の適否を審査したにすぎない。なぜ首相の友人が手がけるのかは不明朗なままだ。
 規制を緩和する国家戦略特区制度の下で、愛媛県今治市に岡山理科大獣医学部をつくる加計学園の計画を認めるよう、文科省の大学設置・学校法人審議会が林芳正文科相に答申した。二〇一八年四月に開設される見通しとなった。
 この審議会の主な役割は、高等教育機関としてふさわしいかどうかを学問的見地からチェックすることだ。特区の事業者に加計学園が選ばれた過程を検証する権限はない。
 従って、政府には引き続き、その選考過程について納得のいく説明をする責任がある。公平、公正であるべき行政手続きがゆがめられたと疑われている以上、地元自治体や国から多額の公金が投入される開設は凍結するのが道理だ。
 獣医師が増えすぎないよう、文科省はこれまで獣医学部の新設や定員増を認めなかった。入学定員百四十人という最大規模の獣医学部が少子化の著しい時期に今治市にできるのはなぜか。原点に立ち返って精査する必要がある。
 その規制を緩めるに当たり、政府は「既存の獣医師養成ではない構想」「ライフサイエンスなど新たな分野の需要」「既存の大学では対応が困難」「近年の獣医師の需要動向を考慮」の四条件を閣議決定していた。本当にそれらを満たしたのか明確とは言い難い。
 開会中の特別国会で、政府は詳細なデータを基にあらためて分かりやすく説明するべきだ。加計学園が審議会に示した認識も、併せてつまびらかにせねばならない。
 京都産業大も特区制度での獣医学部新設を目指し、京都府とともに名乗りを上げた。ところが、政府が「広域的に獣医師系養成大学のない地域」「一校限り」「一八年四月開設」と条件を追加し、結果として諦めた経緯がある。
 特区担当の内閣府から「総理のご意向」などと伝えられたとされる文書の存在が文科省では発覚した。外形的にはまるで加計学園を優遇したように映る。国民から刑事責任を問う声が相次ぐのは異常事態というほかない。
 安倍晋三首相や周辺は疑惑を否定するが、加計学園の加計孝太郎理事長の喚問を含め、国会は真相を徹底して究明せねばならない。国民の理解を欠いたままでは、大学界の信頼さえ失われかねない。  

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