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【中国新聞】 加計獣医学部「認可」 国民の疑念まだ拭えぬ

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 文部科学省の大学設置・学校法人審議会はきのう、学校法人加計学園が国家戦略特区制度を使って愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画について、林芳正文科相に認可の答申をした。
 しかし、数々の疑念がまだ晴れていない。2015年に閣議決定された特区での新設4条件を満たしたとする根拠は何だったのか。安倍晋三首相と懇意な人物の学校法人が特別扱いされてはいないのか…。
 それらの解明も待たずに来春開学することを、入学志望者はもとより納税者たる国民は望んでいるだろうか。
 答申のタイミングも、すっきりしない。政府の意向を忖度(そんたく)するかのように衆院選後に先送りした。認可を見越し、校舎建設は着々と進んでいるらしいが、完成間近の校舎が台無しになった学校法人森友学園とのあまりの落差に違和感が残る。
 設置審の役目は、教育課程や教員配置などが大学設置基準に合っているかどうかの審査にとどまる。「既存の大学では対応が困難」などの4条件に合致しているかをチェックする役割は担っていない。
 たとえ設置審のお墨付きを得たとしても、政府が最終的に認可するか否かの判断は別だろう。少なくとも、疑念について説明し、はっきりさせた後に結論を出すのが筋である。
 4条件クリアと結論付けた根拠について、特区担当だった梶山弘志地方創生担当相が「説明する必要はない」としているのは感心しない。論拠を示すか、もしくは首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議で改めて検討すべきではないか。
 森友問題もそうだが、加計問題がこうも長引いたのは、ひとえに政権の姿勢によるものと言わざるを得ない。
 今年6月の記者会見で首相は、特区の審議について「議事は全て公開している」と胸を張った。だが、計画が4条件に見合っているかどうかについての審議経過をたどれるような議事録はまだ見当たらない。
 加戸守行・前愛媛県知事は衆院予算委員会の閉会中審査で、「加計ありき」はむしろ十数年前からの既定路線だったと明言している。にもかかわらず、首相は「腹心の友」と認める相手が特区の事業に関わっているとは今年1月まで知らなかったと言う。何とも解せない。
 共同通信が衆院選前に行った電話世論調査で、政府の説明に「納得しない」との回答が約78%に上ったのも、無理からぬ数字といえよう。
 衆院選中のテレビで「野党から質問があれば丁寧にお答えしたい」と口にしながら、選挙が済んだ途端、国会での野党の質問時間を削るよう指示を出している。不誠実極まりない。
 首相は「一点の曇りもない」と言い張るよりも先に、取り組むことがある。公平であるべき行政がゆがまないよう、働き掛けの記録や情報公開の徹底、忖度の入る余地のない制度の用意である。そうでもしない限りは、いつまでたっても国民の疑いは拭えまい。
 特別国会では、代表質問や、文部科学委員会、予算委の審議が控えている。加計問題を巡り、誠心誠意の丁寧な質疑応答を国民が期待していることを与野党は改めて肝に銘じておくべきである。

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