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【八重山毎日新聞】 丁寧に謙虚な国政運営を

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立憲主義尊重は大原則
 ■議席数と民意の乖離
 
 
 
 第4次安倍政権が発足した。時を同じくして、平和主義と国民主権の大原則を定めた日本国憲法が公布71年を迎えた。
 政権は改憲発議に必要な3分の2(310議席)以上の議席を得て、維新や希望などの改憲勢力を合わせると実に371議席。
 比例区で自民党は33%の得票率。立憲民主党19%、希望17%の合計に及ばない。小選挙区では48%の得票率で75%の議席を占有した。
 総選挙直前の内閣不支持率は、支持率を上回っていた。政権は国民に信任されたわけでもないのに、これだけの大勝という結果である。
 明らかに議席数と民意は乖離(かいり)している。少ない得票で高い議席占有率を得られる現行小選挙区比例代表並立制の弊害と言えよう。
 第4次安倍政権は、来年9月の自民党総裁選はあるものの、3選されれば21年までの政権維持が可能だ。当然、改憲を視野に入れてくるだろう。
 ■安倍政権の危うさ
 「立憲主義」の理念は、選挙直前に立ち上げられた立憲民主党のみの「旗印」ではない。憲法によって主権者たる国民が国家権力の力を制限し、権力の暴走を防ぐための理念である。
 憲法がその国の最高法規であることに誰もが異論を持たないだろう。ところが、その最高法規を下位法がさん奪する立憲主義の破壊をたびたび試みているのが安倍政権であり、1強を力の源泉とする「安倍政治」である。
 安倍政権の来し方を振り返る。13年冬。まず、特定秘密保護法で国民の「目と耳」をふさいだ。
 次いで、歴代政権が容認しなかった集団的自衛権行使について、閣議決定で強引に変更、容認した。14年夏である。戦後の安全保障政策の大転換だ。
 その法制化を進めたのが15年夏の安全保障関連法制強行採決である。憲法の大原則である平和主義を下位法が換骨奪胎し、法治主義、立憲主義が危うい状況をつくった。
 仕上げが17年夏、国民の「口」をふさぐ共謀罪=組織犯罪処罰法改正法案(略称テロ等準備罪)である。立憲主義を壊す手法は、戦前の国家主義に回帰させることを意味する。
 これらは選挙公約にないことばかりである。
 ■国民の批判に耳を傾けよ
 「アベノミクス」は上場企業や富裕層への利益をもたらしたというが、国民には景気回復の実感は皆無、所得も増えず格差は広がるばかりだ。
 政権の看板政策も「地方創成」から「女性が輝く社会」、「1億総活躍」、「働き方改革」などと次々掛け替えられてきたが、そのいずれも成果を見ることなく、何の検証もされないまま。
 今度は、教育無償化を伴う「人づくり革命」と言う。財源を消費増税に求めるが、これは裏返せば将来世代へのツケ回しである。
 政権はおごりや慢心に陥らぬよう、自ら戒める姿勢が欠かせない。政治は政権支持者だけでなく、すべての国民のためにある。批判に真摯(しんし)に耳を傾け、国政運営で「丁寧」と「謙虚」の実践に徹するべきだ。
 トランプ大統領訪日で示された北朝鮮に対する「完全な一致」は、国民を危険にさらさないか。今や「敵基地攻撃能力」や「核兵器の開発・保有」が公然と語られる時代である。
 野党も少なからぬ支持を得た。それぞれの軸足を定めたうえで国会での連携を築いてほしい。緊張感のない国政は危うい。
 国家権力の動向を見極め、その暴走を防ぐ手だては立憲主義の尊重という大原則しかない。

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