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【北國新聞】 兼六園周辺文化の森 近代建築ゾーンを一体発信

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 国の文化審議会が、金沢市飛梅町の「旧石川県第二中学校本館」を重要文化財に指定するよう文部科学相に答申したことを受け、兼六園周辺文化の森に点在する明治ロマンを感じさせる近代建築群を一体感をもって発信したい。金沢と言えば、藩政期の城郭建築や武家屋敷、伝統的な町家が並ぶイメージもあるが、質の高い近代建築の宝庫でもある。旧制二中校舎の重文指定により、金沢市中心部の貴重な明治建築ゾーンをアピールできるだろう。
 金沢城内に陸軍第九師団があった関係で、兼六園周辺には、既に重要文化財に指定されている旧陸軍兵器庫(現県立歴史博物館)や、九師団司令部庁舎、陸軍金沢偕行社(かいこうしゃ)の建物が近距離にある。さらに県文化財保存修復工房が隣接する県立美術館広坂別館は、かつての師団長官舎である。一帯は重厚な赤れんがの外観や、モダンな近代様式の建物が集積しており、多彩な明治建築の薫りが漂うエリアとなっている。
 「金沢くらしの博物館」として活用されている旧制二中校舎は、1899年に、改正中学校令を基に建てられた木造校舎で「三尖(さんせん)塔(とう)」の愛称で親しまれてきた。
 当時の姿を残す校舎は珍しく、これ以降に建てられた中学校舎の手本となったとされる。近代学校建築の発展過程を知る上で高い価値があり、明治期に建設された旧制中学校舎の本館としては国内4件目の重要文化財となる。
 東京国立近代美術館工芸館の金沢移転で、兼六園周辺文化の森一帯の注目度が増す中、現在地から移動して同館の外観に生かされる九師団司令部庁舎と偕行社は、内部にも、明治期の洋風建築の特徴が色濃く残っていることが確認され、空間構成や意匠を保全する方向となっている。
 こうした歴史的価値の再発見もアピールすることで、兼六園周辺文化の森が一層インパクトのある空間になる。重要文化財の旧制四高校舎(現石川四高記念文化交流館)なども加え、近代建築群をたどる周遊ルートを一段と力を入れて提案すれば、金沢城や兼六園、美術館ゾーンと合わせて、奥行きのある金沢を発信できるだろう。

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