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【富山新聞】 米抜きTPP合意 戦略的な意義は大きい

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 環太平洋連携協定(TPP)に参加する日本など11カ国は、関係閣僚会合で、米国抜きの協定発効に大筋合意した。TPP参加国が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は、米国の離脱で約40%から13%程度に縮小し、一部凍結を含む変則的な運用となるが、共通の価値観の下、世界経済の範となり得る新たな通商ルールづくりの道をアジア太平洋地域で開く戦略的な意義は大きい。日本を中心に詰めの作業を確実に進め、米国の復帰を促す努力を続けてもらいたい。
 TPPは、物品の関税自由化だけでなく、サービスや投資の自由化を進めるほか、知的財産や電子商取引、国有企業など幅広い分野の通商ルールを定める。21世紀型の新たな貿易・投資自由化ルールの「ひな型」ともいえる。
 米国のオバマ前大統領は「アジア太平洋地域の経済ルールを中国のような国に書かせるわけにはいかない」という明確なアジア戦略をもってTPP交渉に臨んだ。これに対して、トランプ大統領は自国の利益拡大のため、多国間協定から2国間協定へ通商戦略を転換したため、TPPは水泡に帰す恐れもあったが、残り11カ国が新たな通商ルールづくりの意欲を失わず、効力を一部凍結する柔軟な対応で、TPPの枠組みを維持したことを歓迎したい。
 参加国の中には、対米貿易のメリットがなくなるなど、TPPの盟主とも言えた米国の離脱で利害対立が再燃し、再調整に手間取った。参加国それぞれの国内事情もあり、協定発効への道のりは平たんではなかろうが、各国が不満を抱きながらも自由、民主主義、法の支配といった価値観を共有し、一つの自由貿易圏の中で共存共栄を図る意思を再確認したことは何より重要である。
 トランプ大統領は、日本をはじめアジア各国と2国間の通商協定を結ぶ意欲を示し、多国間協定への参加をあらためて否定した。このため、TPPへの復帰は当面考えにくいが、日本としては11カ国によるTPP発効合意という先手を打つことで、米国に振り回されぬ交渉が可能になろう。

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