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【朝日新聞】 米抜きTPP 「多国間」を粘り強く

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 米国の離脱に揺さぶられた環太平洋経済連携協定(TPP)は、漂流という最悪の事態を何とか避けられそうだ。
 米以外の参加11カ国の閣僚会合が開かれ、新たな協定について大筋で合意した。今後、最終合意を経て、過半数の6カ国が議会承認などの国内手続きを終えれば発効する。
 土壇場でカナダが反発し、首脳レベルで合意を確認できなかったのは残念だ。カナダも加わるよう、調整を続けてほしい。
 11カ国は、米国の主張で盛り込まれたルール分野の一部項目について、米国の復帰まで凍結することにし、その対象を協議してきた。医薬品データの保護期間など20項目を凍結することで折り合ったが、国有企業の特別扱いを禁じる規定などについて検討を続けるという。作業を急がねばならない。
 米国が抜けたとはいえ、11カ国は国内総生産(GDP)で世界の約13%を占める。世界のあちこちで保護主義的な動きが強まるなか、今回の合意が持つ意味は小さくない。
 問題は、米国をどうやって呼び戻すかだ。
 「米国第一」を掲げ、自国の利益を反映させやすい二国間協議を重視するトランプ大統領の姿勢はなかなか変わりそうにない。一昨日の演説でも、多国間の自由貿易協定(FTA)には入らないとし、「公正で互恵的な貿易の原則に従う、インド太平洋の国と二国間の協定を結んでいく」と述べた。いずれ、日本にも一対一の交渉を求めてくるだろう。
 しかし、二国間の協定では、ヒトやモノ、カネ、情報が活発に行き交うグローバル化に十分に対応できない。電子商取引などの新たなルールを広げるためにも、多国間の枠組みが理にかなっているし、米国の利益にもなる。そう説き続けることは、日本の役割である。
 世界貿易機関(WTO)での交渉が停滞するなか、貿易自由化の主役はTPPのようなメガFTAに移っている。日本は欧州連合(EU)とも経済連携協定を結ぶことで大枠合意した。
 それに続く今回の合意をテコに、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉も加速したい。RCEPには中国や韓国、ASEAN諸国、インドが参加しており、成立すれば広大な自由貿易圏ができあがる。
 その時、まだ多国間の枠組みの外にいることを、米国は選ぶだろうか。
 保護主義に対抗するには、粘り強く自由化の輪を広げていくしかない。

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