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【読売新聞】 米国抜きTPP 保護主義圧力に先手を打った

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 米国で高まる保護主義に「待った」をかける重要な一手である。各国と結束を深め、世界の自由貿易推進の核として着実に発効させたい。
 米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11か国が、新たな協定に大筋合意した。年明けにも署名を果たし、2019年をめどに発効を目指す。
 TPPは関税の削減・撤廃のほか、知的財産権など広範な分野に及ぶ。次代の世界標準と目される高水準の貿易ルールだ。成長著しいアジア太平洋地域で、協定が再始動する意義は極めて大きい。
 日中韓印など16か国が交渉中の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)をはじめ、他の貿易枠組みにも有力な指針となろう。
 米トランプ政権は、偏狭な自国第一主義を振りかざす。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では、極端な米国優遇を求める。米韓自由貿易協定(FTA)は、韓国に再交渉を無理強いした。
 日本に対しても、対日貿易赤字の削減を狙い、日米FTAの交渉開始に強い関心を示している。
 TPPは日本にとって、米国の圧力をかわす安全弁となり得る。米国市場以外への進出も視野に入れて交渉したTPP以上には、対米のみの交渉で譲歩できない、という主張が成り立つからだ。
 新協定は、元の協定で米国の主張が強かった一部項目を「凍結」する一方、米国が復帰すれば「解凍」する仕組みも残した。
 TPPが再始動するからには、米国が日本に2国間交渉を迫ることがあれば、まずは米国にTPP復帰を促すのが筋である。
 新協定に向けた11か国の協議では、当初、米離脱による凍結項目の候補が50程度にも上った。大筋合意では20項目に絞り込み、意欲的な協定内容の維持に努めた。
 11か国中、最大の経済大国である日本は、高級事務レベル会合を再三主催するなど、強い指導力を発揮した。それが合意形成を促したのは間違いない。
 ただ、最終局面でカナダが難色を示し、予定した首脳会合が流れる事態も起きた。日本は今後も各国と丁寧に意思疎通を図り、協定発効まで足並みが乱れぬよう意を尽くしてもらいたい。
 11か国は今後、新協定の国内手続きに進む。日本は昨年、元の協定について国会の承認を得た。新協定の関連法案について再び国会審議が必要になる見通しだ。
 政府には、米国抜きの協定内容と意義を丁寧に説明し、国民の理解を広げる努力が欠かせない。

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