Home > 社説 > ブロック紙 > 中国新聞 > 【中国新聞】 「多弱」の野党 対抗軸となる政策示せ
E055-CHUGOKUNP

【中国新聞】 「多弱」の野党 対抗軸となる政策示せ

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 希望の党の国会議員を束ねる共同代表におととい、玉木雄一郎氏が選ばれた。衆院選を機に民進党が分裂して「多弱」となった野党各党の態勢が、やっと固まったことになる。今後は巨大与党に、どう立ち向かっていくかが問われる。
 野党勢力が政権交代を目指すのなら、「多弱」のままでは難しい。数の上で大きな塊をつくる必要があるだろう。
 しかし衆院選公示前からのどたばたを経て短期間で、希望の党、立憲民主党、無所属の会、参院議員を中心とする民進党の新体制が生まれた経緯がある。
 希望の党の玉木共同代表は統一会派の結成には否定的で、まずは挙党態勢を築く考えだ。安全保障関連法や憲法9条改正など党内でばらばらの見解についても合意を得て、いまだはっきりしない党の理念や政策を具体化させるのが先なのだろう。
 立憲民主党の枝野幸男代表も野党再編には距離を置く。国民の目に「永田町の数合わせ」と映れば支持は得られない、と考えているようだ。
 確かにあくまでも「再編」は手段にすぎない。野党に求められているのは、巨大与党に対抗し得る政治の理念や政策を国民にしっかりと示すことである。「安倍1強」政治のほころびが見えているからだ。
 日本経済の緩やかな景気拡大が続いているとはいえ、アベノミクスの行き詰まりは明らかである。日銀による異次元の金融緩和は4年半が過ぎてもなお、2%の物価上昇目標に程遠い。財政再建の道筋も見えない。少子高齢化が急激に進み、人口が減少する社会の処方箋が示されているとは言い難い。
 野党は安倍政権の政策の一つ一つを批判するだけでは足りない。この先、どんな社会を目指すのか、総合的に示す必要がある。参院議員中心の新執行部が発足した民進党も含め、各党は骨太の理念と政策を練り上げてほしい。その上で重なり合う方向性が見いだせれば、統一会派や将来の再編がおのずと視野に入ってくるのではないか。
 一方で、これまでも目立ってきた安倍政権の強引な国会運営に歯止めをかけるための連携は急いでもらいたい。衆院選後も驚くような提案が自民党からなされているからだ。
 国会での質問時間の配分についてである。現在は衆院予算委員会などで「与党2対野党8」となっているが、おとといは自民党が「与党5対野党5」を提案。野党側が突っぱねた。
 そもそも「2対8」は、民主党政権時に野党だった自民党も要求して慣例化したものだ。また与党は、法案の事前審査で意見を反映させることができる。国会での質問時間を野党に傾斜配分するのは、監視を強める上で必要なことだ。
 与党には、森友・加計学園の疑惑をこれ以上追及してほしくないという思惑があるのか。野党は連携を深め、これまで通りの質問時間を確保するとともに、特別国会では森友・加計疑惑について、国民が納得できるまで問いただしてほしい。
 これまで野党に頼りない面が目立ってきたとはいえ、国民の側もそれを批判するばかりでいいのだろうか。健全な民主主義には、政府・与党と対峙(たいじ)する勢力が必要だ。私たちも、その視点を忘れないでおきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。