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【北國新聞】 「森林バンク」 先行の「農地」も参考に

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 林野庁が「森林バンク」制度の創設を目指している。林業の担い手がおらず、放置されているスギやヒノキなどの人工林の管理を、いったん市町村が引き受けた上、意欲のある林業経営者に貸し出す仕組みである。関連法案を来年の通常国会に提出する方針という。
 農林水産省が2014年度から実施している「農地中間管理機構(農地バンク)」制度の森林版である。農地バンクは、耕作放棄地などを所有者から借り入れて集約し、大規模農家や農業法人に貸し出す制度であるが、利用実績は順調とは言い難く、その経験と課題を森林バンク制度の創設、運用に生かしてもらいたい。
 林野庁によると、国内の森林面積は国土の約3分の2の2500万ヘクタールに及び、そのうち約1千万ヘクタールは人工林である。戦後植林した人工林の半分以上は伐採期を迎えているが、木材価格の低迷や後継者難で放置状態のものが多い。
 国内の林家の8割以上は、保有山林面積が10ヘクタール未満の小規模・零細林家で占められ、その大部分は林業経営の意欲を失っている。手入れ不足の人工林の増加が、豪雨による流木被害拡大の一因になっているとの指摘もある。人工林の荒廃と林業の衰退を食い止めるためには、意欲のある林業経営者に放置林を集め、林業の成長産業化と再造林を促す新たな仕組みが考えられてよいだろう。
 先行の農地バンク制度の利用状況をみると、各都道府県に設置された農地中間管理機構を通じて、16年度に新たに貸し付けられた農地は約1万9千ヘクタールで、前年度(約2万7千ヘクタール)に比べて約3割減少した。大規模経営を目指す農業者の希望に合う農地が減っていることが一因と見られている。また、所有者の死亡後に相続登記が行われず、持ち主のはっきりしない農地の増加が農地バンク業務の大きな障害になっている。
 農水省は、権利関係の不明確な農地でも、貸し付けを簡便に行える方策を検討しているが、森林バンクの運用に当たっても、同様の問題が生じる恐れがあるとみなければなるまい。

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