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【中国新聞】 湯崎広島知事3選 底力、引き出せているか

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 広島県知事選で、自民、公明、民進3党の推薦を得た現職の湯崎英彦氏が、共産党推薦の新人との一騎打ちを制して3選を決めた。今後4年間、283万県民のリーダー役を担う。
 選挙戦の構図が似ていた前回に比べ、得票数の差を1万票以上広げた。最大の争点だった2期8年間の県政について、合格点を与えられたと言えそうだ。
 ただ、18歳選挙権導入後で初めてとなる知事選だったが、投票率は過去3番目に低い31・09%と、前回を0・88ポイント下回った。少子高齢化の進展で人口減少が深刻化するなど地方は危機に直面しているのに、関心が高まらなかったのは残念だ。
 当選確実が報じられた後のインタビューで、湯崎氏は初当選時のキャッチフレーズ「引き出せ広島県の底力」を振り返っていた。この8年間、各地域や県民の底力を十分引き出してきただろうか。改めて責任の重さをかみしめてほしい。
 この間、県の経済成長率や1人当たりの県民所得の伸びは全国トップクラスになった。出生率の上昇や観光客数の増加に加え、県産レモンのPRなどのブランド戦略でも成果があったと言えよう。
 しかし、次世代産業の育成は福岡に水をあけられているとのデータがある。新しい付加価値を生み出す企業のイノベーションや成長の後押しについても、湯崎氏主導の官民ファンドなどを通じて模索しているが、成果は十分だとは言い難い。変わらぬ重厚長大型産業依存をどう脱するか、正念場ではないか。
 選挙中、子どもの貧困対策に取り組む考えを示した。欧米のように社会的分断が進んでしまう前に歯止めをかける必要があるとの認識に異論はない。自ら強調する「誰も置いてけぼりにしない県政」のため、セーフティーネット作りを急ぐべきだ。
 その意味で、県が計画中のグローバルリーダーを育成する中高一貫校の新設とは、どう整合性を取るのか。「エリート育成」に県が取り組む必要性があるのか、県民の理解は進んでいない。展望も含めて、しっかり説明することが欠かせない。
 広島都市圏東部でのJR高架化や福山市鞆町の架橋計画撤回後の町づくり、県と市町の水道事業を統合する「県内1水道」などの懸案もある。住民や市町の声をじっくり聞きながら、腰を据えて進めてほしい。
 提言型の平和施策にも力を入れている。広島市とは役割分担ができているというが、県民には分かりにくい。研究や人材育成、国際的な非政府組織(NGO)のネットワーク化などを担う「センター」設置を構想しているが、具体像や必要性、実現への道筋を早く示してほしい。
 一般的に長期政権になると慢心や独善に陥る例もある。県議会の役割も重要だ。約8割が知事与党だけに、なれ合い議会に堕さないか懸念が残る。「是々非々」を貫き、チェック機能を働かせて、緊張感のある論議を展開してほしい。
 湯崎氏には、自分たちと異なる考えや、少数意見にも耳を傾ける態度がこれまで以上に求められる。少子化対策や社会保障の充実など国を挙げた取り組みが不可欠な課題も多い。全国知事会などを通して、県民に代わって言うべきことは言う姿勢を忘れてはならない。

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