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【北國新聞】 日米中の首脳外交 地域安定へ新たな出発点

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 トランプ米大統領の初のアジア歴訪と、国際会議を利用した一連の首脳会談は、日本にとって二つの重要な変化がみられた。トランプ大統領が、安倍晋三首相の方針に乗る形で「インド太平洋戦略」を自身のアジア戦略の柱に据えたこと、さらに安倍首相と習近平国家主席が日中関係の改善推進で一致したことである。地域の緊張緩和と安定への新たな出発点と受け止めたい。
 インド太平洋戦略は、アジアとアフリカをつなぐ海を、ルールに基づく平和な海とし、民主主義や法の支配、市場経済によって成長と繁栄の大動脈を築くという構想で、安倍首相が昨年8月のアフリカ開発会議で表明した。
 オバマ前政権ほど明瞭で包括的なアジア戦略を持たないトランプ政権にとって、インド太平洋戦略は多国間協力による初の本格戦略といえ、安倍首相との会談だけでなく、アジア太平洋経済協力会議(APEC)関連会合で明言し、オーストラリア首脳らと認識を一致させた意義は大きい。
 ただ、海洋安保で多国間協力を推進する一方、通商では多国間協定を否定する「ねじれ」状態で、APEC会合の演説もほとんどが通商問題に割かれた。中国の覇権・膨張主義を抑えるため、インド太平洋戦略を必ず具体化するという決意が今ひとつ十分に伝わってこないのが気掛かりである。
 一方、安倍首相と習氏、李克強首相による日中首脳会談が短期間のうちに相次いで開催されたのは異例である。「戦略的互恵関係の下、関係改善を力強く進めたい」という安倍首相の呼び掛けに対して、習氏は「今回の会談は中日関係の新たなスタートとなる」と応じた。尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国の強硬姿勢がすぐに和らぐとは思われないが、習氏の発言は緊張緩和に向けたシグナルとも受け取れる。
 懸案の日中韓首脳会談の日本開催や首脳同士の相互訪問、防衛当局間の海上連絡メカニズムの構築がなれば、日中間の「空気」は大きく変わる。安倍首相と習氏は安定した政権基盤を生かして実現に全力を挙げてもらいたい。

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