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【毎日新聞】 社説 めぐみさん拉致から40年 解決への粘り強い努力を

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 無事でいてくれれば53歳になる横田めぐみさんの写真展が新潟市で開かれている。
 生まれたばかりの双子の弟のほおにキスする姿は愛らしい。中学校の校庭で満開の桜を背にした写真では恥ずかしそうな表情を見せている。
 先週は東京・新宿駅で開かれ、ため息をつきながら見入る中高年女性の姿が目立った。自らの娘や孫に重ね合わせる人が多いのだろう。
 めぐみさんは40年前のきょう、放課後の部活からの帰り道に拉致された。王貞治選手が米大リーグ記録を超える756号本塁打を放ち、日本中をわかせた2カ月後だった。
 父の滋さんと母の早紀江さんにとっては世界が暗転した日だ。女性の頭骨が日本海で発見されたと連絡を受け、震えながら警察に向かったこともあったという。何の手がかりもない塗炭の苦しみが続いた。
 北朝鮮による拉致かもしれないという有力情報がもたらされ、家族会が結成されたのは20年後だった。
 2002年の日朝首脳会談で北朝鮮は犯行を認めた。だが、めぐみさんを含む8人は「死亡」とされ、日本中が大きな衝撃に包まれた。
 帰国した蓮池薫さんら5人にしても、日本での生活を安定させるには大変な苦労があったろう。
 蓮池さんは復学した中央大を卒業し、大学教員となった。地元に戻って市役所に勤務した地村保志さんは昨年、定年を迎えた。曽我ひとみさんは介護施設で働いている。
 帰国者への政府支援に対する誤解から心無い言葉を投げつけられもしたという。日本社会の狭量さを示すような話で、とても残念だ。
 北朝鮮は14年5月の「ストックホルム合意」で全面再調査を約束したが、ほごにした。菅義偉官房長官は同年秋までに最初の報告を北朝鮮から受けると説明していたが、結局は何もなかった。より効果的な施策を練るためにも経緯の検証が必要だ。
 トランプ米大統領は今年の国連演説でめぐみさん拉致を取り上げ、来日時には早紀江さんらと面会した。3年前の国連総会では、北朝鮮の人権問題を国際刑事裁判所に付託するよう求める決議が採択された。
 この流れが拉致事件解決につながるよう、国際社会への働きかけを粘り強く続けていきたい。

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