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【読売新聞】 日馬富士暴行 横綱の品格はどこに行った

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 大相撲の屋台骨を支える横綱として、あるまじき行為である。厳正な処分が必要だ。
 横綱日馬富士が、幕内の貴ノ岩に暴行を加えていたことが分かった。貴ノ岩は頭蓋底骨折などのけがを負い、九州場所を休場している。
 鳥取巡業時の10月下旬、モンゴル出身力士による酒宴で口論となり、激高して暴行に及んだという。日馬富士は14日、「深くおわび申し上げます」と謝罪した。
 どのような理由があるにせよ、暴行は言語道断だ。品格が求められる横綱なら、なおさらである。土俵で胸を貸し、力を示して、若手力士に奮起を促すのが、横綱の本来の姿だろう。
 けじめが付くまで、土俵に上がることは許されまい。九州場所3日目から休場したのは、当然の対応である。力士生命の危機だと言えよう。師匠である伊勢ヶ浜親方も監督責任を免れない。
 相撲界では2007年、時津風部屋の序ノ口力士が暴行を受けて死亡した。10年には横綱朝青龍が泥酔して一般人に暴力を振るい、引退に追い込まれている。
 かつて大相撲を窮地に追いやった暴力の土壌が、完全に払拭(ふっしょく)されていなかったことは残念だ。
 不可解なのは、暴行の事実が今になって発覚した点だ。貴ノ岩側が日本相撲協会に休場のための診断書を提出した際にも、負傷理由を説明しなかったのだろうか。
 師匠の貴乃花親方のコメントは「診断書に書いてある通り」などと詳しい説明を避けている感がある。これでは、相撲協会の巡業部長として、暴行の事実を隠蔽(いんぺい)していたと疑われても仕方がない。
 貴ノ岩が親方に事実関係をきちんと報告していたのか、という問題もあるだろう。
 相撲協会は関係者から事情を聞くという。自浄能力の欠如を再三、指摘されてきた協会に、どこまで踏み込んだ調査ができるのか、疑問符が付く。貴乃花親方は鳥取県警に被害届を出している。県警は実態解明を急いでもらいたい。
 大相撲の人気は、急速に盛り返している。場所は大入りが続く。4横綱は負傷がちだが、台頭した若手が土俵を盛り上げている。10年の野球賭博事件や11年の八百長問題など、相次ぐ不祥事で失墜した信頼は回復したかに見えた。
 日馬富士の暴行問題は、相撲協会が人気回復にあぐらをかき、力士の規律が緩んでいることの表れではないのか。協会が再発防止に毅然(きぜん)と取り組まなければ、ファンはまた土俵から離れるだろう。

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