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【高知新聞】 【日中首脳会談】関係改善へ対話広げよ

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 安倍首相は中国の習近平国家主席、李克強首相と相次いで会談し、日中の関係改善を推し進めていく方針で一致した。
 来年の日中平和友好条約締結40年を見据え、安倍首相の訪日要請に習氏は前向き姿勢を示し、日本が議長国を務める日中韓首脳会談の早期実現でも合意した。
 これまでの安倍首相との会談で険しい表情を崩さなかった習氏が、今回は笑顔を見せて握手を交わす姿が世界に伝えられた。融和路線を呼び掛ける安倍首相に対し、習氏も「中日関係の新たなスタートとなる」と友好的に応えた。
 日中の協調、連携関係の構築は、経済や安全保障面をはじめ幅広い分野で両国の利益にかなう。東アジア地域の安定にも寄与する。互いの歩み寄りと対話の流れを広げ、加速させてほしい。
 習氏は10月の共産党大会で2期目の政権を握り、指導部人事で党内基盤を強固にした。任期5年からさらに長期的な権力掌握もうかがわせる。安倍首相も先の衆院選大勝で、「1強」の政治基盤を強めた。安定的、継続的な日中外交への素地が整ったといえ、中国側も好機と判断したのだろう。
 日中両国は歴史問題や沖縄県・尖閣諸島への中国の領海侵入、安倍政権の安保政策などを巡り、あつれきを深めてきた。一方で、中国の経済的な台頭に加え、保護主義をむき出しにするトランプ米政権の誕生も絡み、日中関係の改善メリットは高まっている。
 安倍首相は習政権の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」への協力を模索している。中国への対抗でもあった環太平洋連携協定(TPP)が米国の離脱で縮小した事情が背景にある。中国にも圏域拡大になり、首脳会談で今後の協議事項とする方向で合意したという。
 日本にとって中国の協力を得て解決に導きたい喫緊の課題は、北朝鮮問題だ。会談で日中両国は北朝鮮の非核化に向け、国連の制裁決議の履行などで連携を強化する方針でも一致した。
 互いにけん制し合ってきた両国首脳が新たな対話へ向き合い始めたといえよう。ただ、その先には容易に見通せない難題も多い。
 北朝鮮対応で、「圧力」を前面に掲げる安倍政権に対し、北朝鮮と経済関係が強い中国は「対話重視」の姿勢を変えていない。温度差は明らかだ。中国が尖閣諸島の領有権主張を引っ込める気配もない。
 アジアからアフリカにかけての外交戦略として、安倍首相が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」も一帯一路との利害対立の火種になりかねない。習氏も太平洋への海洋進出をにおわす覇権主義的な主張を重ねている。
 障壁は多い。だが、日中が再びテーブルに着き始めた外交の扉を閉じることなく、議論を深めていくしかない。そのプロセスの中から着地点の解が見えてくるはずだ。

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