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【山陽新聞】 国会の質問時間 監視機能を損なわぬよう

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 今月1日に始まった特別国会は、自民党が質問時間の野党の配分を減らすよう要求し、野党の反発を招いた。
 これまで質問時間は与党と野党で「2対8」となっているが、「5対5」に改めるよう自民党は要求してきた。見直しは安倍晋三首相が自民党幹部に指示したものだ。
 特別国会では森友、加計学園問題などで野党の追及が予想されている。与野党の対立で日程が決まらなかった衆院文科委員会は、審議時間を長くした上で「1対2」とし、野党の持ち時間確保に配慮することで折り合った。ただ、今後も委員会ごとに協議することになりそうだ。
 そもそも本会議や各委員会での各会派の質問時間は国会法に規定がなく、与野党が協議して決めてきた。麻生政権のころまでは与党と野党でおおむね「4対6」だったが、民主党政権時代に野党だった自民党の要求で「2対8」に変更された経緯がある。自民党の要求に野党が反発したのは当然だろう。
 若手自民党議員からは国会での発言機会が限られ、有権者から批判されるので与党の持ち時間を増やしてほしいとの要望があるという。菅義偉官房長官は「議席数に応じた配分を求める主張は国民ももっともだと考えると思う」と理解を示す発言をしている。
 議席数に応じた配分は一見すれば民主的に見える。しかし、わが国の法案審議の実態を踏まえて考えなければ、本質を見誤ることになろう。
 政府の予算案や法案は国会前に与党が事前審査をしている。国会に提出されるのは与党が了承したもので、国会での与党の質問は問題を指摘するより、政府方針を追認する方向にならざるを得ない。
 昨年のカジノ法の審議では、衆院の委員会で「質問時間が余った」として般若心経を唱えた自民党議員がいた。しかも、わずか約6時間の審議で委員会採決が強行された。こうした現状を踏まえると、与党の質問時間を増やして国会審議が充実するとは到底思えない。
 国会は立法府であるとともに、政府を監視する重要な機能を持つ。安倍政権は反対意見が根強い法案審議でも、審議時間が一定程度に達したとして審議を打ち切り、採決を強行してきた。野党の質問時間を減らすことは政権に対するチェック機能をさらに弱めることになりかねない。
 「安倍1強」の下、自民党内では異論が出にくいという指摘がある。現状に不満があるなら、まずは事前審査の充実など党内議論の活性化に取り組むべきだ。一方の野党側も各党の質問内容が重複する場面を目にする。質問時間を効果的に生かし、議論を深める努力を求めたい。
 衆院選後、安倍首相は「今まで以上に謙虚な姿勢で政権運営する」と語っていたはずだ。言葉だけに終わらせぬよう、国会での丁寧な説明を実践してもらいたい。

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