Home > 社説 > 地方紙 > 近畿地方 > 京都新聞(京都府) > 【京都新聞】 公文書管理指針  恣意的な運用防げるか
E200-KYOTO

【京都新聞】 公文書管理指針  恣意的な運用防げるか

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 一歩前進とはいえ、これで恣意(しい)的な運用を防げるとは言い難い。
 森友、加計学園問題で批判を受けた行政文書管理を巡り、政府は公文書管理法のガイドライン見直し案を提示した。行政の意思決定過程の検証に必要な文書を「原則1年以上」保存すると明記した点は評価できる。だが1年以上保存するかどうかの判断を各省庁の職員に任せたままで、果たして実効性が担保できるのだろうか。
 ガイドラインは政府が各省庁の文書の扱いについて示す指針だ。財務省による国有地売却交渉記録の廃棄や、獣医学部新設に関する政府の内部文書、自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)によって文書管理のずさんさが露呈したのを受け、現行指針が全面改定されることになった。
 見直し案では、省庁の課ごとに対象文書の種類や期間を決める基準の公表も求める。これまでどんな文書が保存されるか不明確で、重要文書が捨てられているとの指摘が出ていたからだ。
 一方で「保存期間1年未満」と分類できる文書として、職員間の日常的な業務連絡や日程表といった七つを例示する。しかし該当するかどうかは職員が判断し、外部のチェックは届かない。これでは都合の悪い文書が破棄されるのではないかとの懸念は拭えない。
 さらに省庁内や外部との打ち合わせ記録を行政文書として作成し、可能な限り出席者に発言内容を確認することも盛り込む。打ち合わせ記録が情報公開の対象となることは歓迎したいが、省庁間の折衝で一方が自らに不都合な情報と判断すれば合意がないとして削除できる余地も残る。
 政府機関では日々数多くの文書が作成されている。事務効率上難しい面があるものの、文書管理の恣意的運用を避けるために、何らかの形で第三者の意見を聞く仕組みが欠かせない。
 公文書は政府の政策決定や歴史的事実などの記録であり、国民の大切な財産でもある。適正に管理、保存、公開されてこそ、将来にわたって国民が権力の行使をチュックできる。不都合な文書はできるだけ隠し、廃棄した方が無難といった考えは許されない。
 政府は有識者による公文書管理委員会の意見などを踏まえ、年内に新ガイドラインを決める方針という。だが先の衆院選でも情報公開の重要性や文書管理のあり方が論じられた。制度に「抜け道」があってはならない。新ガイドラインが妥当であるのか、国会の場でも論議が必要だろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。