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【陸奥新報】 移動販売車「広げたい買い物弱者支援」

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 五所川原市の七和地区で、食材や生活用品などを積み込んだ移動販売車の運行がスタートした。人口減少や少子高齢化の進展に伴い、食料品店などが近所にない「買い物弱者」への支援と同時に、独り暮らしの高齢者の見守りをする役割を果たすことが期待される。
 移動販売車は、同地区活性化協議会(三上勝則会長)と青森県民生活協同組合(平野了三理事長)が協定を結んで実現した。県民生協は移動販売車と食材などを提供し、同地区が運行を担う。地区の2コースを週2回巡り、課題を見極め改善しながら年度末まで継続していく。
 同地区は今年1月末現在で、人口1944人のうち4割近くを高齢者が占める。近隣では商店なども減少し、買い物をするためには車で20分ほどかかる同市の中心部や青森市浪岡地区まで行く必要があるという。同様の状況にある地区は県内でも少なくないだろうし、全国の地方共通の課題とも言えよう。
 過疎化などにより商店が減少する一方で、インターネット通販が急速に普及した。通販に限らず、ネットで注文すると商品を届けてくれるサービスを行う小売店なども増えている。だが、高齢者らにとってネットはなじみにくい面が少なくないだろう。特に地方では移動販売車のような取り組みが必要だろうと思う。同様の動きが各地で広がってほしいとも願う。
 移動販売車の運行では国の補助金が活用されているようだが、行政の支援はまだまだ不十分と言わざるを得ない。総務省が全国87自治体に調査したところ、買い物弱者の実態把握に取り組んでいるのは約半数にとどまっていた。さらに移動販売や店舗開設、買い物代行などを行う事業者を調べたところ、193事業のうち約7割が実質的に赤字に陥っていることも判明している。
 一方で、買い物弱者対策を主に担う所管府省は決まっておらず、府省間の連携も深まっていない。買い物弱者の定義も明確ではなく、農林水産省は372万人程度、経済産業省は700万人程度とばらばらに推計しているのが現状だ。
 総務省は買い物弱者の暮らしを支援するため、国と自治体の積極的な関与が必要と強調。自治体による買い物弱者の実態把握と府省間の情報共有が欠かせないとし、国と地方自治体が積極的に対策を講じることが重要だとする通知を7月に関係府省へ出したが、その後どれだけ進展しただろうか。新年度政府予算編成に反映されることを期待したい。
 経産省によると、1996年から2014年の間に、全国の飲食料品小売業は42万店から17万店に減少した。その結果、「買い物に困難を感じる」高齢者の割合は17%に上っているという。行政にはスピード感を持って、買い物弱者支援に当たってもらいたい。

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