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【デーリー東北新聞】 教育無償化 所得格差拡大は論外だ

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 安倍晋三首相が総選挙で前面に掲げた「教育無償化」公約がほころびを見せている。財務省はこのほど、大学無償化の一環として自民党が検討している大学授業料の「出世払い」制度は高所得世帯も恩恵を受けるとして反対を表明。年末に政府がまとめる政策パッケージから外したい意向だ。
 教育無償化は2019年の消費税増税分の使途を変更、高等教育や幼児保育・教育の無償化に充当するとの内容だ。3〜5歳児の全面無償化も格差拡大をもたらしかねず、所得制限など歯止めが必要だ。
 1千兆円の財政赤字を抱え効率的で公平な支出が求められているのに、所得格差拡大が生じるばらまき的無償化は論外だ。首相の公約が修正されれば政治不信が募りかねないが、有権者を意識して生煮えの政策を強行する手法の方に問題がある。
 出世払いは、在学中の授業料を政府が肩代わりし、就職後の収入に応じて返済する内容。親の所得を問わず、就職後の収入把握も難しいため、格差の拡大や財政負担が増す懸念がある。今後は低所得世帯対象の授業料減免や17年度に実施した給付型奨学金の拡充策が軸となろう。
 幼児教育支援も、3〜5歳児の保育・幼稚園費用を全て無償化するのはどうか。所得制限がないと、高額費用を負担する高所得世帯も無償化され、所得の格差は広がる。0〜2歳の保育園児の無償化拡大は低所得世帯限定だが、待機児童組の不公平感は増すことになる。待機児童解消が先だ。
 無償化等の財源2兆円も問題が多い。3千億円は企業の拠出金で保育所拡充に回すが、負担が増す中小企業に不満が多い。残りの1兆7千億円は消費税率10%へのアップの増収分だ。シルバー世代に偏りがちだった社会保障を全世代型にするのが狙いとはいえ、この分は社会保障費の赤字補填(ほてん)の流用であるため、赤字は減らず先送りされるだけだ。負担を押し付けられる将来世代の不公平拡大には目をそらし、現役世代の恩恵ばかりを強調するのは、有権者の受け狙いが根底にあるからだろう。
 社会保障の全世代化を加速するには、歳出だけでなく累進税率強化など歳入対策と一体の包括的な所得再分配策が必要だ。それには財源論を前提に、給付と負担の具体的線引きなどを政府内で十分検討した上で、国会で議論を尽くす手続きが不可欠だ。政略第一の官邸主導がこの過程を逆転させ、行政が後始末に回る。これでは政策に説得力が出ないのは当然だ。
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