Home > 社説 > 地方紙 > 北陸地方 > 富山新聞(富山県) > 【富山新聞】 北朝鮮の漁船転覆 実態把握の必要はないか
E160-TOYAMA

【富山新聞】 北朝鮮の漁船転覆 実態把握の必要はないか

そう思わないそう思う (まだ投票していません)
Loading...

 北朝鮮の小型木造船が能登半島の北方約360キロ沖で転覆した。海上保安庁に救助された乗員3人は漁を終えて北朝鮮に帰る途中で、船には全員で15人が乗っていたと話した。その東方約54キロでも別の小型船が転覆した状態で見つかっている。
 現場海域は好漁場の大和堆(やまとたい)に近く、転覆した船は日本の排他的経済水域(EEZ)で違法に操業していた可能性がある。日本海が荒れる季節に小型の木造船で沖に向かうのは無謀な行為だ。それでも北朝鮮から次々と大和堆に出てくるのは、なぜなのか。
 巡視船に救助された3人は翌日に別の北朝鮮船に引き渡されたが、危険な操業の実情や狙いはどこまで分かったのだろう。石川県漁協からは、乗員が違法と認識しているのかどうかの確認を求める声が出ている。日本海の安全と権益が脅かされる現状は看過できない。対策の実効性を高めるために違法操業の実態を積極的に把握する必要があるのではないか。
 転覆船が見つかった15日は石川県漁協が政府に取り締まりの強化を要請していた。政府側は放水で退去させていると説明したが、木造船は繰り返し押し寄せている。違法操業によって北陸をはじめとする日本の漁業者は安全に操業できず、損害は関連業界にも及んでいる。無謀な出漁で遭難した北朝鮮の乗員を日本の巡視船が救助する事態に至ったことを政府は深刻に受け止めてほしい。
 石川県漁協は政府に臨検(立ち入り検査)や拿捕(だほ)に踏み切るよう求めた。実行には課題もあるのかもしれないが、現行の措置が効果を十分に上げているとは言えず、漁業者の要望は理解できる。
 違法操業は今後も続くのか。その可能性があるのならば、常態化する前に強力な手を打たなければならない。武器を携行している恐れがあれば、防備を固める必要がある。違法操業を重ねる側の狙いや組織的な背景に応じて的確な対策を講じるためには、当事者から事情を聴くことが重要になる。
 朝鮮半島有事の際は北朝鮮の難民が粗末な船で日本に向かう可能性がある。かつてない事態に備えるためにも、違法操業船の対策はレベルを上げる段階に来ている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。