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【産経新聞】 不明土地の増大 政府挙げて対策を進めよ

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 所有者不明の可能性がある土地が、2040年には現在より310万ヘクタール増え、約720万ヘクタールに及ぶ。こんな推計を、民間有識者でつくる研究会が発表した。
 北海道の約9割に当たる広大な面積だ。研究会は、土地が使用できていた場合に得られた利益や所有者を捜すためのコストなど、経済的損失が累積で6兆円を超すという試算も示す。
 極めて深刻な事態である。法務、国土交通、農林水産など関係する省庁は多いが、縦割りでは対応しきれない。国家的な危機という観点から取り組むべきだ。
 高齢社会を迎えた日本は今後、死亡者が増大する「大相続時代」に突入するが、国民の相続意識の希薄化から、こうした土地は増加傾向にあるという。
 その結果、固定資産税などの徴収が難しくなるだけでなく、関係者の同意が必要な公共事業の大きな妨げともなる。
 所有者を特定するのに多大な費用や手間がかかり、事業そのものの変更も余儀なくされかねない。民間による都市開発にとっても支障になる。
 研究会によれば昨年時点で410万ヘクタールに上る。ここまで面積が広がった大きな理由は、相続登記に法的義務がないためだ。
 地方出身の都市住民で、故郷にある土地を利用する予定のない人は少なくない。手放そうにも買い手は簡単に見つからない。登記には労力、手数料などコストが伴う。よって、故人名義のまま放置されがちとなる。
 長期間にわたって放置されると、相続する土地の存在自体を知らない人が増える。その間に相続人がさらに増え、問題が複雑化するケースもある。
 限られた国土には「国民の共有物」の側面があることを考えたい。所有者を明確にするのは最低限の責務だ。登記の義務化には課題も多いが、手続きの簡素化や税負担の軽減といった促進策を真剣に考える必要がある。
 所有者が不明の土地については、利用権を設定し、公共性の高い事業に有効活用するための制度の導入も図るべきだ。こうした土地の放置は、景観や治安の悪化、土砂災害や不法投棄といった問題を引き起こす。
 これ以上の拡大は、国土保全にも支障を来そう。安倍晋三首相の指導力が欠かせない。

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