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【読売新聞】 日産無資格検査 効率経営の死角が招いた不正

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 ゴーン流の効率経営の歪(ゆが)みが招いた不正行為ではないのか。生産優先で安全検査の人繰りを現場任せにしてきた企業風土改革が急務である。
 日産自動車の無資格検査問題で、社内の調査チームが不正の実態についての報告書をまとめ、国土交通省に提出した。
 日産は1990年代から、国に代わって新車の安全性をチェックする「完成検査」を正規の検査員ではなく、無資格者が代行する不正を多くの工場で続けていた。
 原因について、報告書は、生産に見合った十分な完成検査員の確保に、本社が「特段の配慮をしてこなかった」と記した。
 その結果、製造現場では、完成検査員の多くが、無資格者による検査は法令違反だと認識しながら、効率化を優先して、不正を容認してきたと言える。
 完成検査は、消費者が安心して車を購入するために重要な役割を担っている。無資格検査は消費者を欺く行為にほかならない。製造現場がその自覚を欠いていた実態は、あきれるばかりだ。
 検査人員を十分に確保する。検査ラインに顔認証システムを導入し、正規の検査員しか入れない仕組みにする。日産は、こうした再発防止策を講じる。
 国交省は、日産の品質管理体制の改善状況をしっかりとチェックしてもらいたい。
 報告書が、経営責任に十分言及しなかったのは物足りない。
 調査対象となった経営陣は、無資格検査について認識していなかったという。現場の人手不足を放置し、生産計画の実行を強いてきたことは、企業統治に欠陥があったと言わざるを得ない。
 カルロス・ゴーン会長は、90年代に経営不振に陥った日産をV字回復させた。高い業績目標を掲げ、実現を迫る「コミットメント経営」で再建を実現した。
 だが、無資格検査は、ゴーン氏が社長を務めた2000~17年の間も続いていた。世界一の生産規模を目指し、効率の向上を製造現場に求め続けたことが、不正の温床になったとの指摘もある。
 無資格検査は、スバルでも行われていた。研修の一環として、無資格者が完成検査を行い、正規の検査員名で書類に押印する手法が常態化していた。日産と同様、経営の監視体制が不十分だった。
 日本の製造業は、自動車以外でも同様の不祥事が相次いでいる。メイド・イン・ジャパンの信頼回復に向け、抜本的な改革に取り組まねばならない。

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