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【高知新聞】 【NUMO動員】原発行政のゆがみ正せ

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 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選定について、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)が開催した住民意見交換会に、広告業務を請け負った会社が謝金などを約束して学生を動員していた。NUMOが明らかにした。
 公正、透明であるべき住民参加の会の信用性を損なう。NUMOは、孫請けだったマーケティング企画会社の独断だったとするが、発注者の管理責任は免れない。
 核のごみの最終処分場を巡っては、2007年に全国で初めてNUMOの文献調査に応募した安芸郡東洋町で住民の反対が巻き起こり、町の混乱を招いた歴史がある。手続きの不透明さが不信を増幅させた。その教訓の風化さえ思わせる。
 経産省が今年7月、最終処分場が設置でき得る地域をリストアップした「科学的特性マップ」を公表し、本県を含む国土の7割弱に該当する適地エリアを示した。動員があった意見交換会はこの特性マップを用い、国民に最終処分場への理解を深めてもらうため10月から全国各地で開いている。
 これまでに開催された会のうち東京や大阪など10都府県で、1人1万円の日当や1人5千円相当の謝礼で学生を勧誘し、このうち12人が動員されたさいたま市をはじめ5会場に計約40人が参加していた。
 NUMOは、謝礼は実際には提供されなかったと説明している。だが、NUMOが昨年8月にさいたま市で開いた別のセミナーに参加した学生が、1人5千円程度の謝金を受け取って動員されたと共同通信の取材に証言している。
 学生へ聞き取りをしていないNUMOの調査の不十分さは明らかだ。不適切な参加者集めが常態化していた可能性は拭えない。
 経産省は、最終処分場などに関するNUMOの住民説明会で女性や若者の参加数の少なさをかねて問題視し、細かい活動実績の報告を求めてきたという。若者集めを期待された企画会社が学生の動員に走った背景に、そうした事情への忖度(そんたく)はなかったか。
 原発に関するシンポジウムなどではこれまでも「やらせ」が相次いできた。九州電力の原発再稼働の「やらせメール」や、旧原子力安全・保安院による四電などへの「やらせ発言」要請問題は、いずれも国民を欺く「世論操作」として厳しい非難を浴びた。
 第1次安倍政権下の政府のタウンミーティングでも大量動員や「やらせ質問」が横行し、首相ら閣僚が給与を返納して引責した。今回の学生動員も行政機関になお拭い切れないゆがみの影を映すようだ。
 世耕経産相は「公正性に不信感を招きかねない」と認めた上で、NUMOの事実確認は不十分だとして追加調査を求めた。なぜ「やらせ」が続くのか―。その根本原因の解明こそ必要だ。NUMOの問題だけに矮小(わいしょう)化してはならない。

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