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【山陽新聞】 医療的ケア児 支援広げ家族の負担軽く

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 気管切開に伴うたんの吸引や人工呼吸器の管理、おなかに開けた穴から栄養を送る胃ろうなど、医療的なケアが日常的に必要な子どもの成長を支え、家族の負担も軽くすることにつなげたい。
 こうした「医療的ケア児」に対する訪問看護について、厚生労働省が来年4月の診療報酬改定で、事業者への報酬を手厚くする方針を先日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に示した。
 同時期の障害福祉サービスの報酬改定でも、支援を促す考えだ。障害児向けデイサービスなどの事業所が受け入れた場合、看護師の配置などに応じて報酬を加算する考えを明らかにしている。
 厚労省研究班の推計によると、医療的ケア児は2015年度、全国に約1万7千人おり、ここ10年間で1・8倍に増えた。背景には医療技術が進歩し、重い病気の赤ちゃんも救命できるようになったことがある。
 ところが、そうした医療の進歩に、病院を退院して自宅に帰った後の支援などの制度は追いついていない。子育ての相談相手や預け先がなく、不安を抱えながら、24時間つきっきりで世話をする母親もいる。支援を求める声が高まっているのは当然だ。
 訪問看護の場合、15歳未満の利用者は最近10年間で4倍以上に増えているが、「経験のあるスタッフがいない」「家族との関係づくりが難しい」などと敬遠する事業者も少なくない。約150の訪問看護ステーションがある岡山県内でも、子どもに対応可能なのは半数ほどという。
 通所事業所の受け入れはさらに遅れ、厚労省の調査では医療的ケアを提供しているのは1~2割程度だ。報酬改定を通じて受け皿を拡大していくことがまずは先決だろう。
 医療的ケア児の支援は国だけでなく、自治体が果たすべき役割も大きい。昨年改正された児童福祉法は、自治体が医療や福祉などと連携し、支援に努めることを定めた。
 これを受けて、岡山県は策定中の初の障害児福祉計画(18~20年度)に、医療的ケア児と家族への支援を盛り込む考えだ。関係機関の協議の場を市町村や圏域ごとに設置し、支援を調整するコーディネーターも養成する。
 医療的ケア児は重い身体、知的障害のある重症心身障害児のほか、運動機能や知的に遅れのない子もいる。しかも支援は医療、福祉、教育などさまざまな分野にわたり、一人一人に応じ、きめ細かな調整が大切なのは確かだ。
 教育については、医療的ケア児が在学する公立小中学校は昨年5月の文部科学省の調査で、全国で700校弱にとどまる。通学の希望がかなっても、特別支援学校を含めて付き添いを求めることが多く、保護者の負担は重い。医療と連携し、看護師の配置などを効果的に進め、子どもと家族が社会に参加する機会を守りたい。

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