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【富山新聞】 神通川清流環境賞 イ病の記憶継承の象徴に

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 神通川流域カドミウム被害者団体連絡協議会(被団協)は、四大公害病の一つイタイイタイ病の記憶を後世に伝える目的で、イ病に関する調査や研究、教育などの分野で功績のあった団体や個人をたたえる「神通川清流環境賞」を創設する。
 今では小水力発電などの環境施策を通じて「環境立県」として知られる富山県だが、公害病との戦いの記憶を県民が共有し、受け継ぐこともまた、環境立県の成熟度を示す指標と言えよう。そうした意味でも、同賞を、ふるさとの環境に関する幅広い分野を包含する象徴的な栄誉として、県民の間にしっかり定着させたい。
 イ病は1955年、それまで原因不明の奇病とされていたものを「イタイイタイ病」として富山新聞が報道したことがきっかけで被害が全国に知られ、68年には国が全国初の公害病に認定した。
 以来45年にわたる関係者の粘り強い努力をへて、2013年、被害者団体と原因企業の間で、全面解決を確認する合意書が調印された。患者救済の粘り強い住民運動が大きな節目を迎え、またカドミウムに汚染された広大な田畑の復元にこぎ着けたことは、富山が誇れる公害の克服への歩みと言っていいだろう。
 神通川清流環境賞は、合意を受けて支払われた解決金の一部で設けた神通川清流環境基金を原資として創設される。第一回目はイ病の裁判提訴から50年の節目となる来年3月に表彰式を行い、受賞した個人、団体には活動支援金を支給するという。
 被団協では、来年度以降、賞の対象を拡大し、神通川やイ病だけでなく、県内の環境保全や美化運動、公害の風化防止に取り組む活動を支援し、県イタイイタイ病資料館を見学した小中学生らを対象とする作品コンクールの開催なども計画している。
 被害者の痛みを受け継ぎながらも、未来志向の環境活動の推進力になるように、同賞に関連して、とりわけ若い世代に何らかの環境活動への参加を促すような、親しみやすい企画を県民から募ることも検討していいだろう。

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